町の人の、「日常」を支える普通のパン屋を目指して〈jojoni〉

下川町にまた一つ、素敵なお店が誕生しました。薪窯で焼くハードパンの店、「jojoni」です。林業家のグループ「木こりビルダーズ」が携わった店の佇まいは、一度見たら忘れられないほどの唯一無二の存在感を醸し出しています。特別なこの場所で生み出される、「普通のパン」とは?店が完成する少し前に、店主のカイさんに会いに行きました。(取材時期/2019年12月)

Shop Data

jojoni
住所 下川町旭町239番地
URL https://www.instagram.com/jojonipain/
※現在不定期営業。焼き上がりの情報は、LINEでお知らせしています。

レンガを一つずつ積むように、少しずつ歩み始めるパン屋

雪解け水に光が反射して、キラキラしていた3月の下川町。「この春、町に新しいパン屋ができるんです」という幸せなニュースを聞いてやって来ました。パン屋の名前は、旭川から移転するjojoni。建築材として市場に回らない丸太を活用しようと立ち上がった、林業家による「木こりビルダーズ」が、店舗の施工を担当しました。

中に入ると、店主のカイさんがコテを片手にレンガを積み上げているところでした。パン屋の要である、石窯を仕上げていたのです。見上げれば、木の皮がところどころ残っているむき出しの丸太が、力強く交差しているのが見えます。私の視線に気づいて、「木の皮を剥くのが、本当に大変だった」と笑うカイさん。木材だけでなく、断熱に使った藁やもみ殻まで、すべてが町内産の材料。ワークショップを開催し、カイさんをはじめ、町民や地域住民みんなが建設に参加しました。丁寧に手をかけたことが、佇まいからまっすぐ伝わってきます。


そんな特別な空間で、カイさんが目指すのは「普通のパン屋」。町に立ち並ぶ肉屋や豆腐屋などの専門店と同じように、パン屋としてその一つになれること。下川町産の小麦を使うことも、自然発酵させることも、薪窯で焼くという選択も、あくまで“普通”を目指すため。「その”普通”が難しいんですけどね」と話しながら、石窯のレンガをもくもくと積み上げるカイさん。その背中に、優しい春の光が窓からそっと注いでいました。

2021年6月現在、店舗は不定期でオープン。LINEで予約するのが確実かもしれません。

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この記事の掲載号

northernstyle スロウ vol.63
「カヌーで辿る、川のはなし」

「カヌーイストの聖地」と呼ばれる川がいくつもある北海道。豊かな自然、歴史や文化。さまざまな角度から北国のカヌーの魅力を伝える。

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スロウ日和編集部

好みも、趣味もそれぞれの編集部メンバー。共通しているのは、北海道が大好きだという思いです。北海道中を走り回って見つけた、とっておきの寄り道情報をおすそ分けしていきます。