日常の表情をモチーフに。北村太さんの版画

札幌在住の版画家、北村太さん。季節の果物、ボーダーのTシャツ、うつわ、動物…ユーモアや温かさの中にもどこか懐かしさを感じる表情、版画は、どんな風に作られているのでしょう。木版画を始めたきっかけ、初めての個展のこと、どんな時にインスピレーションが浮かぶのか…気になっていたことを伺いました。

版画のモチーフから、それぞれの質感までもが伝わってきます。

初めての個展

子供の頃から絵を描くことが好きだったという北村さんが本格的に版画を始めたのは、2003年のこと。年賀状に彫った版画がきっかけでした。「元々、年賀状に自分で絵を描いていたのですが、コピーするとやや味気なく感じて。手仕事を感じられる版画のほうが、もらった方も喜ぶかな」と思い、木版画に挑戦したそうです。

こうして、独学で木版画を始めた北村さん。大きな作品でなければ2〜3日以内に仕上げますが、絵がイメージできるまでは、かなりの日数悩むそうです。難しくも楽しいのは、「彫ってみないと出来がわからないところ」と、「自分の描いた絵なのに、自分の意図したところから離れた絵ができるところ」だと教えてくれました。

その後、美幌町にある喫茶室豆灯のオーナー夫妻に店内での展示を提案され、2011年に初めての個展を開きました。「初めての個展は、展示の仕方すらわからなかった。喫茶室豆灯の部屋と道具を使い、出せる限りのアイデアで飾り付けていきました。振り返ってみれば、当時の方が自由な発想でやっていた気がします」。

写真提供/北村太さん

喫茶室豆灯のオーナー夫妻との交流は、北村さんが北海道で暮らす中でもっとも影響を受けたことのひとつ。ご主人は珈琲豆の焙煎、奥様はロウソクを作られています。「手仕事に真摯に向き合い、ありのままのふたりの個性でものづくりを続けていらっしゃるし、何より版画を発表するきっかけと勇気をくれました」。

インスピレーションは、日常の中に。

カレンダーやポストカードは、日々の生活の中や関心事など、身近なものをモチーフに、北村さんのフィルターを通して描かれています。中でも2019年のカレンダーは表紙をポストカードとしても使えるようになっていたり、めくるとおみくじが付いていたりと、うれしくなる仕掛けが。

版画のディテールからデザインの美しさを感じたり、モチーフから季節の移り変わりに気づかされたり。ポストカードは贈り物に添えて。カレンダーはその年が終わっても、ポストカードとして飾ったり、時折眺めては元気をもらったりしています。

ユーモアあるモチーフも。

木版画を続ける北村さんに、今後の制作について尋ねてみました。「抽象的なものやプリミティブな雰囲気の作品が作れるようになったらと思いますが、年を重ねながら自然と表現が変わっていくのを楽しみたいです」。

毎年楽しみにしている北村さんのポストカードやカレンダー。来年はカレンダーにどんなモチーフが描かれるのか、今から待ち遠しいです。

2019年に帯広で開催された「夏マルシェ 北のれんが」で購入した版画。

Instagram:@kiauafuoi

取り扱い店舗

喫茶室豆灯(美幌町)
Pastoral(帯広)@pastoral_obo
yukimichi(銭函)@yukimichi_yuki
licht(札幌)@licht_utsuwa
FAbULOUS(札幌)@fabulous_sapporo
CAVE STORE(札幌)@cave__store
midinette(岩見沢)@midinette_/kp

kibi craft(長野県上田市)@kibicraft

この記事を書いた人

原優美子

原優美子

wakuwakudesign所属。エディトリアルデザイナー。自然豊かな北海道に惹かれ、大阪から移住。特に好きなのは芽室の畑の風景。趣味はお菓子づくり、紙モノ収集。休日は自然の中へドライブ。