
道北の町・下川町で暮らす人たちを訪ねる特集『下川町でスロウ日和』。今回登場するのは、2024年12月に「食材のはかり売りと喫茶の店 月と野菜」をオープンした若園佳子さんです。日々の暮らしを大切にしたいという思いを胸に、約10年前に移住してきた佳子さん。季節の移り変わりを味わう下川での暮らし。開業を機にまた新たな角度から自身の暮らしを見つめようとする日々についてお話を聞きました。一部写真提供/若園さん(取材時期 2025年5月)
Shop Data
食材のはかり売りと喫茶の店 月と野菜
住所 下川町南町361
電話番号 01655-6-7529
営業時間 10:00~16:00
定休日 日・月・火曜
Instagram @tukitoyasai.shop
「暮らしを大切にしたい」という願いを、叶えてくれたまちで。
「暮らしを大事にしたい」。若園佳子さんがその願いを形にしようと下川へと移り住んだのは、今から10年ほど前のことです。「下川に来る前は、四国のライフスタイルショップで働いていました。とてもやりがいはあったけれど、仕事に集中するあまり自分の暮らしが大事にできなくなってしまって。一度きちんと向き合おう、『長く暮らせる土地』を探すことにしました。夫が林業に興味があって、その流れで下川に行ってみることに。町の空気感もしっくり来たし、いろいろなタイミングが重なって、ここで暮らすことになりました」。
移住後しばらく仕事はセーブし、子育て中心の生活を送っていた佳子さん。手づくりの食事を家族揃って味わう、旬の野菜や季節の移り変わりを楽しむ。そんなささやかな日常を送るのに、下川はぴったりの町でした。「田舎ではあるけれど、文化的な楽しみもちゃんとあって。暮らしていて大きな不満がないんです。ここで暮らしている人たちも、自律的に町を良くしようと動いているのがわかる。その相乗効果で、どんどん面白いことが生まれているような気がしています」。

そんな佳子さんも、2024年12月に、「食材のはかり売りと喫茶の店 月と野菜」をオープン。地元の人、店に来てくれる人、そして自分自身のために。もう一度新たな角度から、暮らしに向き合おうとする佳子さんの姿がありました。
食材のはかり売りと喫茶の店 月と野菜のこと。

「いつか食にまつわることで、自分の店を持てたら」と考えていたという佳子さん。町内の元製麵所を活用できる機会に恵まれ、「月と野菜」を始めることになりました。ちなみに店名は、佳子さん自身の好きな単語が由来になっています。
日用品などのはかり売りのほか、月に2回、佳子さんとつながりのある札幌のパン屋からの入荷も。ほかにも道内の飲食店とのコラボイベントや、魚屋の移動販売なども不定期で開催するなど、月と野菜を拠点とした「食の楽しみ」が町内に広がり始めています。
必要なものを必要なだけ選べる「はかり売り」
はかり売りというスタイルを選んだきっかけは、ゴミをゼロにすることを目的とした「ゼロウェイスト」という取り組みを知ったこと。「日本では大抵のものがきれいに包装されていて、ゴミを減らすのが難しい仕組みになっていますよね。まずはそこを小さな範囲で変えていけたら。自分たち、それから下川で暮らす人たちの生活に浸透していくと良いなという思いで始めてみることにしました」。

現在は、オーガニック食材を中心に、ナッツやドライフルーツ、パスタなど約100種の食材を20gから購入することができます。今後は、地元の野菜なども取り扱っていきたいと話してくれました。
手づくりのおやつでほっとひと息つく「喫茶」
「元々食にまつわることがやりたかったのと、喫茶があったほうが、地域の人も馴染んでくれるかなという思いもあって」と、佳子さん。四国にいた頃に働いていた店も、雑貨販売と喫茶スペースがあり、その経験が今につながっているようです。「建物はいつか良い縁があったらと考えていたら、想像以上に大きな店に。改装は大変でしたが、飲食に関しても本格的な設備が揃ったし、広さがある分、いろいろなことに挑戦できそうで楽しみです」。


タルトなどの焼き菓子は佳子さんの手づくり。現在は喫茶のみの営業ですが、ランチ営業のスタートに向けて準備を進めているそう。下川にまたひとつ、おいしい食事を楽しめる場所が増えそうです。
若園さんとスロウ編集部の往復書簡
取材を通して感じたことを訪ね、お返事をもらう文通企画です。
お店や家事で忙しい日々を送る若園さん。両立する上で、大切にしていることはありますか?
立田
仕事ばかり、子育てばかりでは疲れてしまうので、どんなに忙しくてもたまには友人を招いて一緒にごはんを食べたり、犬と一緒に山へ散歩に行ったり、そういう時間をあえてつくるようにしています。「風を入れる」とでも言いましょうか。そういう時間に思いついたことが、仕事で生きることもよくあります。
どれも完璧にはできていませんが、まぁしょうがないです笑。ほどほどに、バランス良く、自分の楽しみも適度に織り交ぜつつ、身も心も健康的に暮らしていけたらいいなって思っています!
若園
下川町で活き活きと自分なりの暮らしを営む人々の物語は、特集「下川町で、スロウ日和」からのぞくことができます。定期更新中ですので、ぜひ寄り道してみてくださいね。トップページは上のボタンから。記事の一部をこちらに掲載します。
下川町の移住情報はコチラ