こころやからだが不調なとき、ちょっとインターネットを調べてみれば、数えきれないほどの“対処法”があふれています。でも、最終的に何を信じて、何を取り入れるかは、自分次第。悩んだり、迷ったり、進んだり、戻ったり。そんなこころの動きをまるごと受け容れて、そっと寄り添ってくれる。北絡が提供するのは、「ラクに自分を生きる」ための「鍼灸」と「呼吸法」。いつだって、単なる“治療”以上の“ぬくもり”をくれるのです。(取材日/2021年4月)
Shop Data
はりきゅう・こきゅう 北絡(ホクラク)
住所 札幌市中央区南15条西8丁目1-12エムプラス山鼻205
電話番号 011-555-7333
営業時間 9:30~20:00(土・日・祝日は〜18:00)※最終受付は1時間前
定休日 火曜
URL hokuraku.net
楽しみ方 一見からだの不調に関係なさそうな、日頃の悩みも話してみる
コンセプトは「ラクに自分を生きる」
このコンセプトは、北絡の代表である原田大祐さんが、「自身がそう生きたい」という思いからつけたもの。北絡は札幌市にサロンを構える鍼灸院だ。一般的な鍼灸に加え、正しい呼吸法を伝えることも、同じくらい大切にしている。
自身の体調不良から、呼吸の重要性を学んだという原田さん。「呼吸には、心と体の状態が両方表れます。『なんだか呼吸がおかしい』という感覚が、不調の始まりの段階であることが多いんです」。言われてみれば、確かにそうかもしれない。緊張したり、ストレスと感じたときに気づくと呼吸が浅くなっていたり、酷いときには「しばらく息を止めていたことに気が付かなかった」なんてことも。特にこのコロナ禍、息苦しさや胸の詰まる感覚を訴える人が増えているという。原田さんによると、肩こりや不安感、胃腸のトラブルなどが呼吸法によって改善されることもあるそうだ。
原動力は、自身の経験
北絡がオープンしたのは、2020年11月。それまでは、釧路市の「はりきゅうアロマ あんずの種」で鍼灸主任や副院長を務めてきた。同時に2011年からは東日本大震災復興の鍼灸ボランティア団体「プロジェクトさとわ」でも活動したり(現在は代表を務める)、2014年にはケニア共和国で行われた医療支援キャンプにも鍼灸師として参加した。10年以上にわたり、鍼灸師として活動を続けてきた原田さん。原動力となっているのは、自身の体験に基づく想い。原田さんが専門とするのは、呼吸しづらい・呼吸が浅い・イライラする・不眠などの自律神経系の症状とアトピー性皮膚炎。これらはどれも、自身が過去に直面し、乗り越えてきた経験なのだそう。
生きるのが少しでも「ラク」になるように
「人生の中で大きなストレスがかかっていた時期に、息苦しさや関節の痛みや動悸、持病のアトピーが悪化したり、血圧が上がったりと、あらゆる不調に見舞われました。そこから学び始めたのが呼吸法でした。それから少しずつ身体と呼吸が整っていくのを実感するにつれ、さまざまな症状も改善していったんです」。同じ悩みを持つ患者さんたちを、鍼灸や呼吸法を用いて少しでも「ラクな生き方」へと導きたい。だから、原田さんは初回のカウンセリングを大切にしている。患者さんが何を求めているのか。それは「早く治すこと」かもしれないし、「原因を特定すること」かもしれないし、「じっくり話を聞いてもらうこと」かもしれない。最終的な目的地は「症状の改善」だが、そこへ至る道のりは一つではない。とことん寄り添って、理解を深めながら施術していくのが、北絡のスタイルなのだ。「だから結構長くなってしまいますね。サッとやってパッと済ませたい人にはおすすめしないかもしれません(笑)」
施術1:呼吸法
実際の施術は、鍼灸と呼吸法がメイン。始めに呼吸法(ヨガのポーズのよう)を行い、身体をリラックスさせる。目を閉じて、呼吸に意識を集中させる。ただ息を吸って吐くだけなのに、普段何気なくしているのとは全然違う。全身に酸素がいきわたって、悪いものが口から鼻からすうっと抜けていくようなイメージ。
施術2:お灸
呼吸法の次は、定番のお灸の施術。ふくらはぎや腰、肩など、症状に合わせた部分にお灸を貼って温めていく。じわーっと熱が伝わり、そのまま数分じっと目を閉じる。熱いのかと思いきや、そうでもない。それでも熱く感じた場合には申し出ればすぐに外してくれる。「触ってみてコリのある部分や、皮膚が緊張したり凹んでいたり、色が変わっているところが、滞っている部分。そこを中心に施術します」。
施術3:鍼(はり)
お灸と共にやると効果的なのが、鍼。髪の毛ほどの細い鍼を、凝っているツボにあてていく。「ここは胃腸」、「ここは腰」など、脚のピンポイントのツボからつながる臓器や部位の説明をしてくれるのが面白い。痛みはないが、どうしても抵抗がある場合は、「刺さない鍼」もあるから安心。
施術4:吸い玉・ヘッドマッサージ
こちらの施術は、そのときの症状に応じて、必要だと判断した場合に鍼灸と呼吸法に組み合わせて行っている。たとえば同じ「肩こり」の症状でも、刺激の方法によっては症状が強くなってしまう場合もある。丁寧にヒアリングをすることで、そうしたミスマッチを防いでいる。
呼吸は「自分を映す鏡」
原田さんによると、呼吸は身体状態の根本となるもの。確かに、人間だれもが1日約3万回も繰り返している、生命活動の基礎と言える。「呼吸が整うと、身体の面でも気持ちの面でも、日常をラクに過ごせます。逆に言えば、呼吸が乱れると『疲れ』『緊張』『落ち着かない』など、日常がしんどくなります」。「心の問題を心で解決しようとしない」。これも、原田さんの言葉。なんだか心が疲れたときに、精神論ではなく、まずは体の環境を変えてみよう。身体感覚が変われば、自然と心もラクになっていくはず。
原田さんは、北絡を訪れてもらうことはもちろんだが、それ以上に、鍼灸や呼吸法を身体をいたわる選択肢の一つに入れてほしいのだと話す。「ラクに生きたいな~、自分の生き方をしたいな~と思っている方、もしくは今ラクに生きられてない、自分を生きられてないように感じる方に届いたらうれしいです」。
鍼灸と聞くと、東洋医学に詳しい人かスポーツ選手が受けるもの、なんてちょっと縁遠い存在に感じてしまうかもしれないが、そんなことはまったくない。特に北絡が掲げる「はりきゅう・こきゅう」は、毎日のセルフケアの延長上にあるものだ。「気持ちよく生きていく」ための伴走者として、気軽に選べるツールの一つとして、北絡の扉を叩きたい。
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