花屋の母娘が演出する、青の空間 〈FLOWER&CAFE HAPPO〉

八雲町に、真っ青な壁にドライフラワーが飾られ、アンティーク什器に花や雑貨が並ぶ居心地の良いカフェがあります。佐藤有季さんが2021年に祖父の釣具店をリノベーションして始めたお店です。地元素材にこだわった料理が人気で、看板の日替わりランチプレートはボリューム満点。母と娘の思いが詰まった家庭的な味に心も身体も癒やされます。(取材時期 2023年6月)

Shop Data

FLOWER&CAFE HAPPO
住所 八雲町末広町89
電話番号 0137-62-2720
営業時間 10:00~21:00(L.O.20:30)
定休日 日曜、祝日

Instagram happo87

祖父の釣具屋をカフェにリノベーション。

真っ青な壁に飾られたドライフラワー。アンティークの什器の上には花やグリーン、お洒落な雑貨が並ぶ。窓はあまり大きくはなく、店内の明るさは控えめ。隠れ家に来たような、居心地の良い空間が広がっている。

店を切り盛りしているのは佐藤有季さん。隣の八宝生花店のオーナーでもある。カフェを始めたのは20215月。祖父が釣具店を営んでいた建物を活用しようと、リノベーションを決意。釣り具店時代は竿を立てて販売していたため天井が高く、思い切って中二階を造った。そのおかげで広さの割には席数が多く、花のレッスンなどを開催するスペースもできたという。

高校を卒業してすぐ、母から花屋の経営を引き継いだ有季さん。明るくはっきりとしていて、言葉に迷いのないタイプだ。若い頃から責任のある立場で仕事をしている影響もあるだろう。そんな有季さんがカフェを始めようと思ったのは、母の夢を叶えたかったから。長い間、花屋の営業を1人で頑張ってきた母の加枝さん。有季さんには、母の次のステージを応援したいという思いがあった。

写真左/『日替わりランチプレート(950円)』。ご飯のおかわりは1杯無料なのだが、おかずの満足感から、おかわりをする人は少ないそう。
写真右/周囲を気にせず寛げる一人がけの席も。

料理担当の加枝さんが手がけるのは、地元の素材と手づくりにこだわったメニュー。看板商品は日替わりランチプレートで、一般的なものの1・5倍はある大きな皿に、たっぷりとおかずが乗っている。この日の内容は八雲産のサクラマスのフライをメインに、地元の山菜や野菜を使った小鉢。サクラマスのフライは大ぶりなカットでこれだけでもお腹いっぱいになる大きさだ。口に入れると軟らかくて、ほど良い甘みがあっておいしい。そのほかにも自家製ミートソースを使ったパスタやキーマカレーも加枝さんの自信作。料理は、店を訪れる老若男女に幅広く好評なのだとか。その味を、「奇をてらわない、家庭の味」と有季さんは表現する。

八雲町に現れた素敵な青の空間には、母と娘の思いが詰まっていた。

HAPPO

エディブルフラワーを使ったスイーツが最近の一押し。ホールタルトやケーキになると鮮やかです。

この記事の掲載号

northernstyle スロウ vol.76
「背景、湖畔より」

湖の側に身を置いて暮らしを営む人々を訪ねて。彼らがここで暮らす理由、生業、楽しみ方、それぞれの「ありのままの日々」を。

この記事を書いた人

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猿渡亜美

剣山がきれいに見える十勝の山奥で、牛と猫とキツネと一緒に育ちました。やると決めたらグングン進んでいくタイプ。明治以降の歴史や伝統に心を揺さぶられ続けています。