色とりどりの野菜がのった、幸せのガレット〈カフェ コフェル〉

一度きりの人生と向き合って、神奈川県から移住してカフェを始めたコフェルの坂井夫妻。「人をおもてなしするのが好き」という思いが、店の細部まで表現されています。なるべく地域の食材を使って、料理を作るコフェル。ガレットを通して、少量多品種で生産されている長沼町の野菜のおいしさを伝えます。

Shop Data

カフェ コフェル
住所 長沼町東5線南12
電話番号 0123-76-7996
営業時間 11:00~17:00(冬期~16:00)
定休日 日・月曜
URL https://kopher614.wordpress.com
席数 16席

カフェコフェルを営む坂井圭介さん、佳代さん夫妻にとって、自宅に人を招いてもてなすことは日常の一部。神奈川県で暮らしていたときも、友人を招いて食事を振る舞うのが好きだった。

教員として勤めながらも「自分の手で人が集まる場所をつくりたい」という思いを抱いていた圭介さん。2015年に北海道に来てから、その思いは一層強くなるばかりだった。一方の佳代さんも、「一度きりの人生、やりたいことをやるのもいいのでは」と、その夢に寄り添うことにしたという。

手助けせずにはいられない、2人の人柄

コフェルで味わうことができるのは、色とりどりの野菜が乗った、ボリューム満点のガレット。幌加内産のそば粉を使って焼き上げた生地に、季節の食材をたっぷり。長沼町は、道内で生産される野菜のほぼすべてを網羅するほどに、多品種の農作物が収穫される土地。できる限り地域の食材を使いたいからと、生産者とのつながりも徐々に築いているところだ。

「ありがたいことに、助けてくれる人にどんどん出会うんです」とは、佳代さんの言葉。隣の農家の方が毎朝玄関まで野菜を届けてくれたり、近所のカフェの店主が店づくりのアドバイスをくれたり。開業前から相談に乗ってくれていた窯元に、ガレット専用の皿を作ってもらうこともできた。トイレの手洗い桶からガス管を改造した照明まで、「どんなにみんなが協力してくれたか」を一生懸命に話す2人の会話から、どれほど周りの人を大切に思っているかが伝わってくるのだから、周囲もきっと、自然に手助けしたくなるということだろう。

「地域にあるものを使わせてもらいながら、地域に喜ばれるものを作りたかったんです」と、圭介さん。元々好きだったガレットなら、地元の食材をたっぷり使うこともできるし、他にないものを提供できるかもしれない。この地に根ざして生きたいという2人の真摯な思いが伝わってきた。

窓の外には隣の農家の広大な畑が。
『ブレンドコーヒー(400円)』。札幌市内の焙煎工房REFINDのコーヒーを、由仁町の馬追焼のカップに。ランチとセットで200円引き。
坂井さん夫妻。新築した建物の外壁は自分たちで塗装した。2019年5月にオープン。
ガレットはいずれも前菜とスープがセットで1,300円。ハチミツとモッツァレラチーズに鴨肉を添えた『ミエル・フロマージュ』も人気。

(取材時期 2019年10月25日)

坂井圭介さん

「スロウ日和をみた」で、庭で採れた何かをほんのちょっと差し上げます♪

この記事の掲載号

northernstyle スロウ vol.61
「パンは語る」

道産小麦もあたりまえになりつつある現在。BIO小麦や薪窯、酵母。それぞれのこだわりを追い求める、北海道のパン。

この記事を書いた人

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片山静香

雑誌『northern style スロウ』編集長。帯広生まれの釧路育ち。陶磁器が好きで、全国の窯元も訪ねています。趣味は白樺樹皮細工と木彫りの熊を彫ること。3児の母。