北海道を代表する風景がある町、美瑛。パッチワークの丘や青い池をはじめ、映画やCMのロケ地としても有名です。もっと知ってほしいのは、脚光を浴びる機会は少なくても、あたりまえのように美しい四季折々の風景と、その風景の中での過ごし方。写真たっぷりにお届けします。
5月 木漏れ日揺れる、
新緑の白樺並木
白樺たちが、空に向かって背比べ。
みずみずしい緑の葉に
覆われた枝をのびやかに広げて、
ささやかな木陰を作ってくれます。
白黒の樹皮も、なんだかとっても
おしゃれです。
白樺樹皮の雑貨が買える店
「スイノカゴ」
6月 風にたなびく、青い麦の大海原
夏のはじまり。
青い空の下に広がる薄緑色の麦畑が
なんと清々しいことでしょう。
太陽の光をいっぱいに浴びて、
麦の穂がサワサワと風に揺られています。
7月には黄金色に色づいて、
収穫の時を待つばかり。
ほんのひと時しか出合えない、
彩りをお見逃しなく。
この風景に出会える宿
スプウン谷のザワザワ村
7月 見渡す限りの純白の絨毯。ジャガイモの花畑
ドライブの道すがら、辺りの景色に目を向けると白や薄紫、ピンクの花畑が広がっています。土の下で眠る小さなジャガイモが大きく育つようにと、真夏の空へ向かって可憐な花を咲かせているのです。男爵、メークイン、キタアカリ、インカのめざめ…。品種ごとに異なる色のグラデーションが広がります。
8月 コロコロ転がる、麦稈ロール
まぁるく形づくられた麦わらが、コロコロ、コロ。
収穫を終えた麦畑に点在する、麦稈ロール。
小麦粉になる穂先を刈り取った後、
残ったわらはロールにして牛舎へ運び、
牛の寝床に使います。
8月上旬、畑に突如として現れるアート作品。
不思議と、心惹かれるものがあります。
9月 青色帽子がトレードマーク。
豆ニオの整列
青や緑の帽子をかぶって
整列するドームの正体は、収穫した豆。
豆を乾燥させるために、1~2mほどの
高さに積み上げます。
乾燥機が普及し、
豆ニオを作る農家は随分減りましたが、
昔ながらの方法を守り伝える
農家の人たちによって、
この風景が残っているのです。
8月末から10月にかけて太陽の下で
乾燥させることで、
大豆や小豆、金時豆、赤えんどう豆、黒豆など
さまざまな品種の豆が、
美しい輝きと極上の味を手に入れます。
10月 山一帯を橙色に染める、カラマツの紅葉
美瑛の丘はカラマツの紅葉に染まります。見晴らしの良い高台から丘を見下ろせば、一面に広がる橙色。燃えるような熱いエネルギーを感じたり、なぜだかじんわり涙が出たり。すっきりと澄み渡る空気を胸いっぱいに吸い込んで、裡から湧き上がる感情に身をゆだねます。
この風景に出会える店
atelier nipek cafe&gallery
11月 雪の日の静寂と、青い池
淡い水色の日もあれば、緑がかったターコイズブルーの日もある、不思議な不思議な青い池。
人の出入りが絶えない夏から一変、雪が降り積もると、辺りは静寂に包まれます。
物語の世界に迷い込んだかのような幻想的なひと時を。
夜間ライトアップ期間:11月1日~4月30日
写真の景色が見られるのは、池が凍結する前の11月。12月以降は池が凍結します。
12~3月 キラキラと輝く雪原がどこまでも。冬の丘
一夜のうちに、丘に雪が積もりました。降り積もった新雪をふんわり掬い上げてみると、手袋の上には細かな雪の結晶。この無数の結晶が、広大な大地を白く包みます。
日の光を浴びて、山の果てまでキラキラ、キラキラ。
雪が周囲の音を吸収し、シンと静まり返った冬の朝の光景です。
12月~3月 白の森を抜ける、ブルーリバー
青い池から白金温泉方面へ、車で約5分。
橋の上からブルーリバーと白ひげの滝を望むビュースポットがあります。
動植物の息吹を感じる春や夏もいいけれど、
雪化粧した真っ白な森の中を駆け抜けるブルーリバーは
圧倒的な美しさ。
厳しい冬の環境がくれたご褒美です。
美しい風景に出会ったら写真を撮りたくなるもの。私有地に立ち入らないなど、撮影マナーを守って楽しみましょう。