
農家に憧れ、2014年に親族が農家を営む豊頃町へと移住した遠藤亘さん。2021年には後を継ぎ、農場を法人化させました。さらには仲間たちと共に、まちの生産物を使った新たな加工品づくりにも着手。農場のこと、地域のこと。さまざまな取り組みに積極的に挑戦しています。(内容は2025年4月現在の情報です)
原材料拠点として豊頃を盛り上げたい。
小麦、馬鈴しょ、大豆、小豆などを生産している遠藤農場。代表の遠藤亘さんは奥尻島出身で、東京の食品メーカーでシステムエンジニアとして働いていました。しかし、そのまま定年まで働く未来が見えず、新篠津村で有機農業を1年半学び、豊頃で農業をしていた祖父と伯父を頼り2014年に就農。農場を継ぎ法人化して今年で6年目。就農当初40町ほどだった農地は70町まで広がりました。現在は奥さんと息子さん2人の4人で暮らしています。住んでみて感じる豊頃町の魅力の一つは小学校入学まで助成金がもらえることや、子どもの医療費を町が全面的に負担してくれるということ。お金の心配を最小限に、子育てのしやすさを実感しているそう。
遠藤さんは自分たちの作った作物で商品が作れないかと農業仲間と模索します。豊頃町は原材料供給でビジネスモデルが確立されているエリアであり、加工品の特産が少なく、加工品のための工場などの建設も地盤の関係で難しいとされています。しかし、将来を見据えて6次化の開拓によって産品の利幅を確保できるよう、対策を講じる必要があると考えました。そうした中で「農業の未来を守り、次世代につなげていく」「付加価値の高い加工品製造などを通して、農業の魅力を発信していく」というミッションのもと、町内の農業者と町地域おこし協力隊の6名で戦隊ものを模した「面白農業組合 TOYOKORO Z」を結成します。地元の子どもたちや町民のために大豆の種まき体験や、もぎたての枝豆を味わえるビアガーデンなどのイベントも開催しています。

また、原材料を活かした加工品として、木桶醸造醤油の製造に注目。醤油は長期的な需要が見込めて誰にでも馴染み深く、原料が小麦、大豆、塩、麹、水とシンプルなものです。高品質で収穫量も十分な豊頃産の小麦と大豆を使用した醤油作りに動き出します。
醤油業界における木桶醤油の流通量は全体の1%程度。遠藤さんはメンバーと共に全国の蔵元が連携して木桶職人の復活を目指す取り組み「木桶による発酵文化サミットin小豆島 2024」に参加しました。数々の醤油を試飲し、職人さんの話を聞いた結果、木桶を使って昔ながらの醸造技術で造る、奈良県の片上醤油と協力して製造に挑戦することになりました。手間はかかっても自分たちが納得できるプロセスやストーリーがあることで、自信をもってお客様に届けることができるはず。醤油の完成は2026年を予定しているそうです。
町を盛り上げるべく、さまざまな取り組みに意欲的な遠藤さんの今後に期待が高まります。
豊頃町の基本情報や、地域で心豊かに暮らしている人々の物語は、特集「とよころよいところ」からご覧いただけます。
ぜひ寄り道してみてくださいね。リンクは上のボタンからどうぞ。