誰もがのんびりと。木々に囲まれたカフェで心緩まるひと時を〈ライオンのいえ〉

鹿追町にあるライオンのいえは、忙しない日常から離れてほっとひと休みできる場所。昔から旅が好きだった田井孔美(くみ)さんが訪れたジャマイカで出会ったのは、驚くほどにゆっくりと流れる時間でした。「体が緩まる時間をお裾分けできたら」と始めたのが、この自然に囲まれたカフェです。優しい味わいの多国籍料理と豊富なスイーツ、そして田井さんの笑顔は、心と身体をじんわりと温めてくれることでしょう。(取材時期 2022年4月)

Shop Data

ライオンのいえ
住所 鹿追町美蔓西13線16-10
電話番号 080-8290-3687
営業時間 18:00~21:00(L.O.20:15)
定休日 日・月・火曜
Instagram @lion_no_ie

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旅での時間をお裾分けしたくて始めたカフェ

緩やかな起伏が続く道の途中、小川が流れ、林に囲まれた中にあるログハウス風の建物。店内はふわりと柔らかく、どこか陽気な空気に満ちていた。

「みんながゆったりできる場所をつくりたくて」とは、店主の田井孔美さん。その思いが芽生えたのは、旅行で訪れたジャマイカでのことだった。「驚くほど、ゆ~っくり時間が流れていて。そこで過ごすうちに、『こうしなきゃ』って気持ちが溶けて、身体がすごく楽になったんです。一瞬でもいい。日本で暮らす人たちにも、こんな風に身体が緩まる時間をお裾分けできたらと思いました」。

旅を終えて、札幌での生活を送りながらもその思いの芽を心に持ち続けた田井さん。「田舎暮らしがしたい」と思っていたこともあり、まずは十勝への移住を決める。「札幌と地元の釧路を行き来する中で、十勝っていいなと惹かれていきました。タイミングは迷いましたが、いつか行くのなら、元気がある今にしようって思いきって」。

現在の店舗は、元々別の喫茶店が営まれていた建物。前のオーナーから「この店を畳むつもり。誰か使ってくれる人はいないかな」という言葉が出た時、田井さんの心の中で、あの思いの芽がぱっと開いた。「ここでお店をやるイメージが膨らんでしまって、その場で『はい!』って手を挙げちゃったんです」。

優しい味わいの多国籍料理とスイーツで、心と身体を温めて

オープンを迎えたのは、2019年春のこと。メニューの中心は、地元の野菜をたっぷり使った彩り豊かな多国籍料理だ。スパイスの効いた料理が多いけれど、角のない優しい味わいで、じんわり身体が温まる。スイーツメニューも豊富で、午後のお茶を楽しみに訪れる人も多いそうだ。

薄くスライスしたりんごをたっぷり使った『りんごのガトーインビシブル(400円)』。季節限定のスイーツが登場することも。

店名の由来は、「ジャマイカでは、ライオンって象徴的で大切な存在。百獣の王であるライオンにも、ひと休みしてもらえるような場所にしたかったから」。ここは、ライオンのいえ。あの日田井さんが出会ったジャマイカでの時間を、周囲の自然や食材の力を借りて、 〝お裾分け”していくための場所。

田井孔美さん

これから夏にかけて、野菜のボリュームがさらに増していきます!

この記事の掲載号

northernstyle スロウ vol.71
「白樺が拓く、森と人の日々」

北海道の各地で目にする樹木、白樺。樹皮細工をはじめ、「材」としての活用にも注目が集まる今、その恵みと可能性を改めて見つめます。

この記事を書いた人

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立田栞那

花のまち、東神楽町生まれ。スロウの編集とSlow Life HOKKAIDOのツアー担当。大切にしているのは、「できるだけそのまま書くこと」。パンを持って森へ行くのが休日の楽しみ。