東川町にある工房宮地は、家具職人の宮地鎮雄さんが独立し、1991年に始めた工房です。2013年からは林業の盛んな中川町と連携し、中川のクルミに特化した家具づくりを行っています。中川は、広葉樹の北限とされる場所。ゆっくり育つ木の木目はぎゅっと詰まっていて色味の深い材が育つそうです。毎年冬にクルミを伐採する日には、宮地さんも中川の森へ。森と人とをつなぐ家具づくりを手がけます。
Shop Data
工房宮地
住所 東川町西2号北10
電話番号 0166-82-2167
URL http://www13.plala.or.jp/kouboumiyaji
※工房見学の際は事前に連絡を。
目印 看板に掲げられたイスが工房の目印
材料は、中川町の森から。
工房宮地の家具はほぼすべて、中川町のクルミの木で作られる。「クルミの木って、軽くて丈夫なんです。『軽い家具が欲しい』と言うお客さんが多くて。その声に応えようと、クルミの木を使い始めました」と、宮地鎮雄さんが話してくれた。元々数種類の道産材を使っていたのだが、クルミは希少で、安定供給が課題になっていた。中川町の森と出合ったのは、そんな頃。中川町が町内の森を活用するため、町産の広葉樹を使って家具を作る人を探していたのだ。
中川町の森は広葉樹の北限なので、木がゆっくりと成長し、その分木目がぎゅっと密になるそう。その分、色味が深くなることも特徴の一つ。写真は、本を読むためのイス、『リーダーズチェア』。工房には製材されたクルミが保管されていて、家具の注文を受けたら、材のどの部分を使うというところから話し合い決めていくそうだ。
家具のふるさとを知ること。
「毎年2月に、中川の木こりさんがクルミを伐採してくれる。そこに一緒に行って、どの木で家具を作るか選ぶんです。印を付けてあるから、どの切り株が家具になったクルミなのか、はっきりわかるんですよ」。タイミングが合えば、家具を注文してくれた人を森へ案内することもある。「これからその人が使う家具のふるさとを、見せてあげたいから」と、穏やかに話す。
家具を作るということは、100年生きてきた木を伐ってしまうということ。だから、なるべく長く使える家具づくりを目指しています。木という素材は、人が使うモノの中で一番寿命の長いモノだと思うんです」。宮地さんの言葉を聞きながら、イスのふるさとに思いを馳せた。
(取材時期 2018年11月25日)