街の文化と歴史をつなぐ 常盤通りのトキワ焼き〈福吉カフェ〉

旭川のランドマーク、旭橋のすぐ側にある福吉カフェは、大正14年(1925年)築の旧北島製粉所をリノベーションして生まれました。旭橋をモチーフにした『トキワ焼き』が定番メニューです。店内のショーケースや、カフェスペースのイスは旭川家具のメーカーによるものが中心。旭川近郊の観光パンフレットなどが並ぶスペースもあり、観光情報の拠点として利用もできます。

Shop Data

福吉カフェ 旭橋本店
住所 旭川市常盤通2丁目1970-1
電話番号 0166-85-6014
営業時間 9:00~19:00
定休日 無休
URL https://www.fukuyoshicafe.com

旭橋をモチーフにした市民のおやつ

美しいアーチを描く旭橋は、旭川のランドマークだ。福吉カフェがあるのは、橋から伸びる常磐通り沿い。ドアを開ければ、甘くて香ばしい、いい匂いでいっぱい。地元の人々が昼下がりの時間を楽しんでいる。

常磐通りはかつて、商店がずらりと並ぶ旭川の中心地だった。店全体の佇まいに、懐かしさや趣を感じるのは、ここが大正14年(1925年)築の旧北島製粉所をリノベーションして生まれた場所だから。建物が解体されるという話が出たとき、「この場所から新たな文化を生み出そう」と立ち上がったのが、地元の情報誌の編集者である海老子川(えびしがわ)雄介さん。市内の福居製餡所、茶舗吉川園(現・USAGIYA)に話を持ちかけ、2013年に3社共同のプロジェクトとして、福吉カフェが誕生した。

『トキワ焼き(250円~)』は季節限定の味も。

メインのメニューは何といっても、『トキワ焼き』。中身は福居製餡所で作る、美瑛産のしゅまり小豆を使ったつぶあんや、かぼちゃやクリームなど常時7種類。『福吉らて』や『抹茶らて』にはUSAGIYAのお茶を使用する。カレーなど、食事メニューも揃う。

旭川の文化を伝える拠点として

「旭川の文化を感じてもらえるように」と、店内では地元の職人が作った家具が多く使われる。店内にある椅子の多くが、匠工芸のもの。社長の海老子川さんが、「旭川家具を発信したくて。匠工芸さんの家具はデザイン性だけでなく、場所や空間に合わせてサイズを調整できたりと機能性もある。なおかつ、気に入ってくれたお客様の手にも届きやすい価格帯」と、話してくれた。

大正時代の工法や歴史が残る建物と、今を生きる職人たちの家具の組み合わせは、福吉カフェだけのもの。街の今と昔を、文化と歴史をつなぐカフェで、ここでしか味わえない体験を。

(取材時期 2019年11月25日

海老子川雄介さん

「スロウ日和をみた」で、旭橋周辺の見どころを教えます!。

この記事の掲載号

スロウな旅北海道別冊⑨旭川・東川
「旭川家具の物語に触れる旅」

100以上のメーカーが家具づくりに携わる、旭川市を中心とするエリア。歴史ある老舗メーカーから旭川家具を使う飲食店、ギャラリーなど旭川家具の物語に触れる旅を提案します。

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スロウ日和編集部

好みも、趣味もそれぞれの編集部メンバー。共通しているのは、北海道が大好きだという思いです。北海道中を走り回って見つけた、とっておきの寄り道情報をおすそ分けしていきます。