いつまでも、新しさにワクワクする日々を〈尾潟鉱一さん〉

道北の町、下川町で暮らす人たちを訪ねる特集『下川町でスロウ日和』。今回お話を聞いたのは、尾潟鉱一さん。大学卒業後に下川へやって来て、まずは農業の道へ。今や町の特産品となっているフルーツトマト栽培に挑戦。その後は福祉の仕事に就き、現在はイラストやデザインの道で活躍中と、さまざまなことに挑戦し続けています。ワクワクすることを忘れず、新しいほうへと進んできた尾潟さんのここれまでのお話、そして町内で手がけてきたデザインを紹介します。(取材時期 2024年5月)

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URL
https://ogatako1.com

先が見えたら、新しいほうへ。

自宅で作業机に向かう尾潟さん。

尾潟鉱一さんが下川町で暮らし始めて、もうすぐ40年。現在はイラストやデザインの道で活躍する尾潟さんですが、下川へやって来た背景には「農業と福祉」という2つの軸がありました。

大阪で生まれ、農業への関心から北海道にある酪農学園大学に進学した尾潟さん。卒業のタイミングで、隣町で福祉施設を立ち上げるという先輩の誘いを受け、下川へ。農業の仕事に就きながら施設の立ち上げに携わります。農業の仕事では、今や町の特産品となったフルーツトマトづくりに挑戦。苦労も多くありましたが、関西圏への販路を見つけるところまで漕ぎつけます。その道をほかの農家に託した後で、自らは本格的に福祉の道へ。前述の施設で60歳まで働いた後は、ウェブデザインを学び、2021年に独立しました。

自宅の壁には、子どもの頃に描いた絵が飾られていました。尾潟さんにとって原点ともいえる絵です。

「何事も先が見えたら、新しいほうを選んできたように思います。独立後は自由な時間が増えて、下川の人たちとのつながりも増えました。仕事以外でもやりたいことがたくさんあって、一緒に楽しんでくれる仲間もいる。下川には、楽しさや喜びに対する価値観が近い人が多い気がします。仲間とよく、『昨日の自分を追い越せたね』って言葉を掛け合うんですよ」。昨日はできなかったことが、今日ひとつできるようになる。そんな変化を細やかに見つめ、楽しみ、歓び合いながら。やりたいことでいっぱいの日々を送る尾潟さんがいます。

ogatakoデザイン〈下川町内編〉

町内のお店のWebページやチラシに看板など、尾潟さんがこれまで手がけてきたデザインの一部を紹介します。下川で暮らす人なら、どこかで目にしたことのある人も多いのでは。ogatakoとは、尾潟さんの屋号であり、大人になってからの愛称の一つでもあるワードです。

パープル商會のいろいろ

本誌でも度々登場している「パープル商會」が開いたギフトエコノミーショップ。窓に施されたイラストは尾潟さんが手がけたもの。「パープル商會のメンバーと相談して、普段描いている絵とは少しテイストの異なるものを仕上げてみました」。取材時は、ショップに置く本棚の看板を製作中でした。完成版を見に行ける日が楽しみです。

手書きの町内マップinコモレビ

まちおこしセンター「コモレビ」にある手書きの町内マップ。観光協会の職員から相談を受けて製作したもので、町内の施設や飲食店の場所が描き込まれています。このマップを見たら、初めて下川に来た人も町内の全体図がすっとイメージできそうです。

ケータのケータリングのチラシ

店主の矢内さん夫妻のイラストが、いかにも尾潟さんらしいタッチ。尾潟さんとの出会いやデザインについて、メッセージを寄せてくれました。

初めて会ったのがいつだったか正確には覚えていませんが…、町内の飲み会で一緒になって、タブレットでスケッチをしてた印象があります。いつも場の雰囲気や空間全体を1枚の絵にして、後日データを送ってくれるんです。このチラシも、表紙には誇張しているようでリアルな僕ら夫婦のイラスト、見開きでは米の一粒ひと粒まで丁寧に描かれたお弁当と、店のコンセプトやアピールポイントがしっかりと伝わるデザインを起こしてくれました。お客さんもこのチラシ良いね! とうれしそうに持って帰られる方が多く、テイクフリーとはいえ減りが早い気がします(笑)。

尾潟さんとスロウ編集部の往復書簡

取材を通して感じたことを訪ね、お返事をもらう文通企画です。

いつもワクワク楽しそうな尾潟さん。
ワクワクを絶やさない秘訣はあるのでしょうか?
立田

3年前に開業してからは、いろんな方から声をかけてもらえるようになりました。出会いの中で仕事が生まれたり、絵を描いたり、デザインをしたり、ホームページを作ったり、旅をしたり、仲間と一緒に食事をしたり、語り合ったり、上手ではないけれど一緒に音楽を演奏したり、バイクに乗ったり。下川の生活をさまざまに楽しむ人たちと関わることも多く、暮らしながら旅をしているような気分になります。新しいことを一緒に喜んでくれる仲間がいるのがワクワクの秘訣なのかもしれません。楽しみやワクワクがどんどん湧いてくる人間関係がいいですね。
尾潟

下川町で活き活きと自分なりの暮らしを営む人々の物語は、特集「下川町で、スロウ日和」からのぞくことができます。定期更新中ですので、ぜひ寄り道してみてくださいね。トップページは上のボタンから。記事の一部をこちらに掲載します。

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この記事の掲載号

northernstyle スロウ vol.79
「ガラスが映す光」

夏はもちろん、冬の〝冷たさ〟を表現するのにも実はぴったりな、ガラスという素材。ガラスが映し出す豊かな光、北海道の相性の良さについて掘り下げます。

この記事を書いた人

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立田栞那

花のまち、東神楽町生まれ。スロウの編集とSlow Life HOKKAIDOのツアー担当。大切にしているのは、「できるだけそのまま書くこと」。パンを持って森へ行くのが休日の楽しみ。