下川町の住宅街の一角にオープンした、話題の雑貨屋〈ヨナタンストア〉を知っていますか? なんと、住所は「ヒミツ」。営業時間は、「青いソリが出ているとき」という、とっても心くすぐるお店です。営んでいるのは、九州は長崎県から移住してきた、波佐見焼の作家奥田容子さんです。青いソリをヒントに、下川町を訪ねてみましょう。
Shop Data
ヨナタンストア
住所 ヒミツ(町民に聞くか、探してください)
営業時間 青いソリが出ているとき
URL https://www.instagram.com/jonathan.trotz/?hl=ja
https://jonathantrotz.shop-pro.jp/(通販サイト)
店主の出身地 大阪
誰かにとって、必要不可欠な場所になれるように
〝不要不急の外出を自粛するように。″コロナウイルスの影響で、よく聞くようになった言葉。けれど、何をもって不要不急なのだろう。ふと疑問が浮かんだ。
多くの人にとって不要でも、誰かにとっては必要なものもある。「そんな場所になれたら」と、ヨナタンストアの奥田容子さんは言う。波佐見焼の作家でもある奥田さんは、2019年に家族で下川町に移住し、2020年6月にアトリエと併設された雑貨店を開いた。
下川町は、人口約3300人の、必要物資以外に触れる機会が少ない小さな町だ。けれど、心躍るようなものとの出合いや、外の世界の文化と触れ合うきっかけを求める人はどんな場所にも必ずいる。そういう人たちの心の拠り所となる場所を作りたい一心で、奥田さんはこの店をオープンさせた。
店の住所は秘密で、青いソリが出ていたらオープンの証という仕組みが、好奇心をくすぐる。扉を開くと思わず歓声を上げてしまうほど、カラフルで楽しい店内に驚かされる。駄菓子やおもちゃは、町内の子どもたちのため。海外の食品や雑貨、文房具などは、地域の、特に「お母さんたちの息抜きに」と、奥田さん。
奥田さんが目指すのは、この空間が、誰かを守る場所になること。だから、小さな町でも他人のプライバシーを守ることをとても大切にしているのだ。そのため、販売記録もごく簡単なものに。誰が何を買ったのかという情報も、自分からは他言しないと決めているそうだ。奥田さん自身が移住者だからこそできる配慮。そういった細やかな気配りが、ヨナタンストアの安心感を作り上げている。
つかずはなれず、適度な距離感が心地よい町
下川町を選んだのは、まず一番に湿度や気温が身体に馴染んでいたから。さらには、移住者が多く新しいことに寛容なこの町の、やりたいことを応援してくれる雰囲気があった。特に、「移住者だからといって、誰かに迎合せず、自然体でいられる」ことも、何より大きかったという。
「下川町に移住する人は、他の町と比べるというより、ここと決めて来る人が多いと思います」と奥田さん。移住フェアで下川町の移住担当者と出会ったとき、町のことを誇張せず、ありのままを話してくれる姿が印象に残った。
移住してみると、人とのほど良い距離感に居心地の良さを感じた。それぞれが「自分の好きなこと」を心に抱き、自分たちで楽しんでいる様子はまさに「大学みたい」。
冬の気候は、時に人の生死をも左右するほど厳しい。自立しているけど、みんな協力し合って生きている。そのバランスが下川町の魅力なのかもしれない。
新しい町で新しいことを始めるのは、勇気がいることに違いない。けれど、下川町には「レストラン モレーナ」や「喫茶アポロ」など、移住者が経営し地域に深く根付いた店がある。「彼らがいるから、きっと大丈夫だと思った」。大先輩たちの背中は、奥田さんの夢を明るい方へ導いてくれている。
話しているだけでこちらまで楽しくなってくるほど、いつでも明るく、パワフルな奥田さん。きっとすでに、彼女自身もこの町の誰かにとって、必要不可欠な存在になっているのだろう。
「スロウ日和をみた」で、チョコレートあげますね。
水晶玉占いの必須アイテムって実はチョコレートなんですよ。未来の話をしましょう。