心と身体に優しいお菓子で、ほっとする時間を〈粉ユキ菓子創作室〉

家庭的であたたかくて、ほっとする。シンプルだけど奥深いサブレの世界。作っているのは、石﨑幸恵さん。お菓子作りが大好きで、まっすぐで誠実な石﨑さんの人柄がそのままサブレに表れています。落ち込んだ日も、ちょっと疲れた日も、このサブレをひと口頬張れば、少し前向きな気持ちになれそうです。

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粉ユキ菓子創作室
Instagram https://www.instagram.com/konayukikashi/

お菓子づくりはもちろん、包装作業も一点ずつ手作業。ドライフラワーや刺しゅう糸を使って、ラッピングしていきます。

抱き続けたお菓子への思い

粉ユキ菓子創作室の石﨑幸恵さんが初めてお菓子を作ったのは小学生の頃。原点は、母のバタークリームケーキでした。「母が一生懸命手で生地を混ぜて作ってくれた思い出があります。それがとてもおいしかった。見よう見まねで、パンともケーキともいえないクッキーを作ったのが最初です」。お小遣いでお菓子の本を買っては眺め、頭の中でたくさんのお菓子を作る想像をしていたそうです。「おいしそうだな。自分だったらこうやって作るな」。アイデアはノートに書き溜めておき、いつしか手づくりしたお菓子を友人に振舞うようになっていきます。

就職後もお菓子への思いは冷めず、石﨑さんは25歳で心を決めます。「この先5年、10年経っても、この気持ちはきっと変わらない」。退職し、まずは調理の基本を学ぼうと調理師専門学校へ入学。卒業後数年は調理師として働き、再び製菓専門学校へ。アイデアを現実のものとするための具体的な知識を身に付けていきました。

夫の転勤で帯広を離れたり、カフェでケーキを作る仕事をしたり、自宅で教室を開いたりしながらさらに数年。念願の工房を立ち上げたのは2015年のこと。小さな家庭のキッチンで、あれこれ想像を巡らせ、工夫をこらし、まるで実験のようにお菓子を作る様子から、工房ではなく創作室という名前にしたのだそう。

「作りたいのは、家庭のキッチンから生まれるお菓子。シンプルで、あったかくて、ほっとするような…そんなイメージです」と、石﨑さんは話します。材料の配合や焼き加減ひとつとっても、表現の幅は無限大。石﨑さんは道産や十勝産の材料を中心に使用し、さまざまなアレンジレシピを生み出しています。書き溜めておいたアイデアノートも大活躍。「疲れた時や落ち込んでいる時でも、ぱっとポジティブになれる。私にとってお菓子は、そんな癒やしの存在です。食べてくださった方が、前向きな思いを感じてくれていると思えたときは、とてもうれしい」。頬を上気させてはにかむ姿を見て、粉ユキ菓子創作室のお菓子を作っているのはこの人なんだと、腑に落ちるような心地がしました。まさに、「あったかくて、ほっとする」雰囲気を醸し出す人。人柄がそのまま、お菓子に表れています。

でも、だからこその悩みも。「きっとおいしいと思って作ったのがクドかったりすると、『私ってクドいのかな…』と、ちょっと落ち込みます(笑)」。大好きで楽しくて、でもそれだけじゃない。そこもまた、石﨑さんにとっての焼菓子の魅力なのかもしれません。

数あるお菓子の中で特に思い入れ深いのが、サブレ。最初に商品化したものでもあり、焼くというシンプルな工程の奥深さが特に発揮されるお菓子です。香料は一切使用せず、けれど素材の味がしっかり感じられるよう、配合を追求しました。ころんとしたひと口サイズの形にも、食べやすさへのこだわりがあります。

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この記事の掲載号

northernstyle スロウ vol.66
「思いを叶える場所へ」

自らの暮らす場所や環境について真剣に考えてみよう、という機運が高まりつつあるようです。それぞれの「大切な思い」を受け止めてくれる場所、北海道。自らの暮らしを現在進行形でつくり続けている人たちの物語をお届けします。

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スロウ日和編集部

好みも、趣味もそれぞれの編集部メンバー。共通しているのは、北海道が大好きだという思いです。北海道中を走り回って見つけた、とっておきの寄り道情報をおすそ分けしていきます。