1年の中で必ず餅を食べる機会といえば、年末年始くらい。つきたての餅のおいしさをすっかり忘れてしまっていました。でも、日日で食べたぜんざいの味といったら。串団子にもカリッと香ばしい焼き目が付いていて、中はもっちり。大福はふんわり、赤ちゃんのほっぺのよう。ほっくりした餡の味に加え、米の甘みや風味が感じられます。北空知の小さな町で、噛みしめるほどにおいしい、つきたて餅に出合いました。(取材時期 2019年11月)
Shop Data
餅菓子と喫茶 日日(にちにち)
住所 秩父別町1546-7
電話番号 0164-34-7412
営業時間 10:00~16:00
※現在喫茶は停止中、テイクアウトのみの営業です。
定休日 火、水曜
URL https://www.nichinichimochi.com
楽しみ方 店内の窓から見えるキッチンで、串団子を焼く様子を見学!
季節の味を、串団子や大福で味わう
空知の北側、雨竜郡秩父別町にオープンした小さな店「餅菓子と喫茶 日日」。和菓子職人の岡田実さんと、妻の千尋さんが営んでいる。薬屋だった建物を改装した店内には、餅菓子のテイクアウトコーナーと小さなイートインスペース(※現在喫茶は停止中、テイクアウトのみの営業です。)。急須で淹れる日本茶やコーヒー、期間限定のぜんざいなどが楽しめる。
千尋さんの実家が農家であることや、町の基幹産業が農業であることなどから、地元の食材に対しての思い入れが強い2人。「『秩父別』という名前をたくさんの人に知ってもらいたい」と、餅の原材料となる米はもちろん、大福の餡にも地元産のブロッコリーやリンゴを使うなど工夫を凝らしている。
毎日つきたて。千尋さんの笑顔も魅力。
餅はすべて、自前の餅つき機で毎日つく。「その日の分はその日のうちに」というのがモットーだから、実さんが作業を始めるのは深夜0時。日が昇って千尋さんが店に出る頃には、20種類ほどの餅菓子が並ぶ。朝一番、法事のためにと大福を求める人、友人の家に遊びに行くからと串団子を選ぶ人。地域行事の餅まき用の餅や、子ど
もの100日祝いにと一升餅のオーダーを受けることも。「農家が多いので、そこから野菜を使わせてもらうようになることも多いです。お客さんと、ついしゃべりすぎちゃうんですよ」と、人懐っこい笑顔の千尋さん。
小さな町ならではの温かいつながりが見える店。地域を大切に思う2人の一生懸命な姿を見て、地元の人たちもまた、日日を応援し、心を寄せている。
この記事の掲載号
northernstyle スロウ vol.62
「森に教わる未来の暮らし」
餅菓子と喫茶日日の記事は、連載「スロウなカフェを訪ねて」に掲載しています。