「宇宙のまちづくり」を掲げる大樹町。ピリカル珈琲店があるのは、国道336号線(通称ナウマン国道)沿い。看板を目印にして進んだ小道の先に佇む、小さな店です。緑に囲まれた心地よい空間で、自家焙煎コーヒーと、手作りランチ&スイーツを味わえます。近隣には、全国的にも珍しいヨード泉の晩成温泉もあります。ドライブルートにもぴったりです。
Shop Data
ピリカル珈琲店
住所 大樹町字晩成274-2
電話番号 01558-7-8008
営業時間 11:00~17:00(ランチL.O.15:00、ケーキL.O.16:00)
定休日 火~木曜
URL Instagram:@pirikaru_coffee
器のこだわり 店で使う器は、お母さんの手づくり
コーヒー好きな父娘が営む、森の中のカフェ
個人宅のような玄関の扉を開けると、出迎えてくれたのは、革のハンチング帽とインディゴのエプロンが似合う、緒方清さん。奥の厨房でケーキを焼いているのは、娘の彩子さん。ここは、父娘が営む森の中の珈琲店。
若い頃からコーヒーが大好きだった清さんは、30代前半、帯広のアリタコーヒーで働く機会を得る。「有田証太郎さん(大正時代、コーヒーの国内普及に携わった先駆者)が豆を焼くのを見ているうちに、『淹れてみないか?』って言われて。基本的なことは教わりました」。そのときから、清さんの焙煎人生が始まった。が、あくまでも趣味として。自分や家族やコーヒー好きな友人のために、生豆を焙煎し、挽いて、コーヒーを淹れ続けてきた。
「仕事は、士幌で肉牛屋、大樹で牧場、牛の削蹄師(爪切り)など。その後、年金でのんびり過ごしていたんですが…」。そんな清さんに、この物件の話が突然舞い込んできたのだそう。
「最初は、とても店なんて、と思ったんですが、娘と話しているうちに『面白いかもしれないね』となりまして…」。2018年6月14日にオープン。
家族の力が合わさって生まれる、穏やかな空間
厨房を覗くと、使い込んだ手回しの焙煎機が見える。「とにかく火加減が大切」と語る清さん。これをガスコンロに乗せて、細かく火力調節をしながら豆を焼く。隣には、同じく年季の入った大きなミル。約40年の集大成が、ブラジル、コロンビア、モカ、キリマンジャロによるピリカルブレンドなのだ。
なぜコーヒーが好きなのかを尋ねると、「戦争直後だったのに父がコーヒーが大好きで。物心ついた頃から、家の香りがコーヒーの香りだったんです」と清さん。もちろん娘の彩子さんも、コーヒーが大好き。そして清さんが淹れたコーヒーは、妻のまち子さんが焼いたカップで提供。さらに、彩子さんが焼いたケーキが添えられる。
ここには、お父さんがいる日曜日の午後のような、穏やかで温かい時間が流れている。
(取材時期 2018年10月25日)
「スロウ日和をみた」で、ご注文をいただいた方へコーヒー100円引き。