森と小鳥に癒やされる鳥旅・冬の森編〈小清水町〉

本格的な寒さの中に、少しずつ春の気配が見え隠れする北海道の2月。野鳥たちのさえずりに誘われて、冬の森へ出かけてきました。今回の目的地は、北海道の東側、オホーツクエリアにある小清水町。年間300種類以上の鳥が観察されるまちです。ガイドの湯浅さんの案内のもと、たくさんの可愛らしい野鳥たちに出会った一日の様子をお届けします。※野鳥の写真提供/小清水町観光協会(取材時期 2024年2月)

Spot.1 オホーツクの村

最初に訪れたのは、小清水町市街地から車で15分ほどのところにある「オホーツクの村」。ここは、地元の有志を中心としたトラスト運動により保全された森で、敷地内には水鳥が羽を休める湖や、野鳥や動物の住処となる巣箱が整備されています。散策路も整備されていて、雪が積もっていても、この森を管理する人や散策に訪れた人の踏み跡が。道もわかりやすく、歩きやすく、親しみやすい印象の森です。

歩き始めると早速、野鳥が樹木の間を飛ぶ姿を発見。立ち止まって耳を澄ませてみると、「フィフィフィ(ゴジュウカラ)」、「チチチ(ハシブトガラ)」と、いう鳴き声が聞こえてきます。声がするほうに視線を向け、双眼鏡を覗いてみると、木の幹を上下に移動するゴジュウカラの姿が見えました。顔を下に向けて移動することができるのが、ゴジュウカラの最大の特徴。くちばしを使いながら、樹皮の間にいる虫を探してエサにしているそうです。せわしなく木の幹の間を飛び回るキバシリの姿を見ることもできました。

湯浅さんに教えてもらいながら、少しずつ双眼鏡を使うコツも掴めてきました。肉眼で見ていた時はシルエットしかわからなかった野鳥の、羽毛の色や模様、表情がわかると、なんだかぐっと親近感が湧き、その愛らしさにぎゅっと心が掴まれます。

今日出会えたのは、「森林で暮らす野鳥」が中心でしたが、時には川沿いの木にオジロワシがズラリと止まっていたり、カワセミが飛ぶ姿を見ることもできるそう。あたりまえですが、野鳥は飛び回って生活する生き物。決まった場所にいるわけではなく、その時々の出会いを楽しめるのが醍醐味なのかもしれません。

この森には、春になるとオオバナノエンレイソウなどの野花が咲くそうなので、雪が訪れたらまた訪れてみたいと思いました。その頃には、野鳥のさえずりで森はもっと賑やかになっているでしょう。

Spot.2 カフェ moimoi

ちょっと小腹が空いたので、カフェへ寄り道。カフェ moimoiは、小清水町防災拠点型複合庁舎「ワタシノ」の中にあります。公共施設の中にこんなに素敵なカフェがあるなんて、ワクワクしていまいますね。メニューには、小清水町の特産品であるじゃがいもを使ったメニューやコーヒーなどのドリンクが揃います。3種のジャガイモの食べ比べができる『3色フライドポテト(500円)』と、5種のコーヒー豆がブレンドされた『ブレンドコーヒー(300円)』でおやつタイムを楽しみました。

ランドリーやデスクワークができるスペースなど、長期滞在の際にもうれしいサービスが充実。案内板にも野鳥があしらわれていて、小清水らしさを感じました。

Spot.3 止別(やんべつ)治山の森

続いて、オホーツク海岸に沿って広がる「止別 治山の森」へ。海岸沿いの防風林として植林された森で、入口にはアカエゾマツやトドマツを中心とする針葉樹が立ち並びます。

森へ向かう途中、釧網本線沿いを歩いていると、早速野鳥の鳴き声が。いろいろな声が混ざって賑やかです。どうやら、ゴジュウカラやコガラ、ヒガラなどのカラ類と呼ばれる小鳥たちが林の中に集まっている様子。秋から冬にかけて、カラやキツツキの仲間が群れて過ごすことがあり、それを「混群」といいます。群れになることで、エサの少なくなる冬に食べ物が見つけやすくなったり、天敵から身を守りやすくなるための工夫なのだそう。

トドマツが並ぶ森は清々しい空気で満ちています。キツツキが彫った穴も見つけました。

賑やかな声をよく聞いてみると、「ジュリ、ジュリ」と濁った声が。これは、人気者のシマエナガの鳴き声。このときは線路の向こうの離れた場所にいて、双眼鏡で姿を見ることはできなかったのですが、「近くにいるんだ!」と期待に胸を膨らませて先へと進みます。

早速姿を現したのはアカゲラ。お腹の部分が赤い、キツツキの仲間です。頭上が赤いので、こちらはオス。こちらの存在は気にも留めない様子で、一生懸命木をつついています。羽毛が膨らんでぷっくりとしたシルエットです。

晴れ間が差し、暖かくなってきたからでしょうか。野鳥たちの声がまた賑やかになり、入れ替わり立ち替わり、近くで姿を見せてくれます。針葉樹の枝先を動き回っているのはヒガラ。針葉樹を好み、松の合間からときたま顔を見せてくれる鳥です。小ぶりで頭がぴょこんとしており、全体のシルエットが三角形をしています。一見目立たない野鳥に思えたのですが、双眼鏡で姿を追ううちにその愛らしさにすっかり惹かれてしまいました。

たくさんの野鳥に出会えてホクホクした気持ちで来た道を引き返していたら、なんと最後の最後にシマエナガがお出まし。数羽集まって樹液を味わっていて、今度はばっちり双眼鏡で姿を確認することもできました。写真でしか見たことのなかった、あの愛らしい表情と小さくて白い体、長い尾。かわいらしい姿をたっぷりと見せてもらい、大満足の一日となりました。

一日の終わりに

野鳥のかわいらしさはもちろん、心身のリフレッシュがうれしい森歩きとなりました。「野鳥を探す」という目的が一つ加わることで、立ち止まって耳を澄ませてみたり、木々の枝先までじっくりと眺めてみたりと、いつもよりも奥行きの深い森歩きを楽しむことができたように思います。外の空気をいっぱいに吸って、余計なことを考えずに、目の前の自然と向き合うための入り口として、バードウォッチングはぴったりかもしれません。今回歩いた2つの森は、初心者でも歩きやすく、野鳥の姿も見つけやすいスポットでした。木々の葉が落ちた季節というのも、野鳥が探しやすく良い季節だったように思います。今度はまたステップアップして、木々の葉が茂る頃に挑戦してみたいです。

スロウ日和編集部

小清水町のさらなる楽しみ方や、バードウォッチングツアーの情報については、小清水町観光協会のWebサイトをチェック!

この記事を書いた人

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立田栞那

花のまち、東神楽町生まれ。スロウの編集とSlow Life HOKKAIDOのツアー担当。大切にしているのは、「できるだけそのまま書くこと」。パンを持って森へ行くのが休日の楽しみ。