流氷とオオワシを訪ねる鳥旅・オホーツク沿岸編

道東の冬の野鳥といえば、オオワシ・オジロワシ。冬になると、多くの野鳥愛好家がその姿をひと目見ようとこの地を訪れる人気者です。観察地としては、知床エリアや根室エリアが有名ですが、小清水町や網走市などオホーツク海岸沿いの幅広いエリアで姿を見ることができます。意外と身近な場所でも出会えるとか…?そんなワシたちに会いたくて、オホーツク海岸沿いへと車を走らせました。ワシたち以外にも魅力たっぷりの野鳥に出会えるルートです。流氷の景色もお楽しみに。※野鳥の写真提供/小清水町観光協会(取材時期 2024年2月)

Spot.1  能取岬(網走市)

雪が降りしきる中、まずは能取(のとろ)岬へ向かいます。ビジターセンターから出発し車を走らせる道中、早速車窓からオオワシの姿が見えました。見晴らしの良いところに止まって、獲物を探しているようです。意外と身近なところでも出会えるチャンスがあるようです。

さらに車を走らせると、今度は空に大きな野鳥の姿が。オジロワシです。道路沿いの駐車場に車を停めて、双眼鏡で観察してみることにしました。ガイドの湯浅さん曰く、「まだ羽がきれいに生えそろっていないところを見ると、若鳥ですね」とのこと。若鳥は白い羽毛が混ざり、成鳥になると全身濃い茶色になるそうです。

写真はオジロワシの成鳥です。羽の色がきれいに揃っています。

能取岬へ到着。オホーツク海に突き出た岬で、モノクロの灯台がシンボル。冬はいち早く流氷が見られるスポットとして知られています。岬から海を見下ろすと、そこには流氷が浮かんでいました。びっしりと接岸しているタイミングではありませんでしたが、道東らしい圧巻のスケールです。

ガイドの湯浅さんの視線の先には、流氷の隙間に浮かぶシノリガモの姿が。肉眼ではシルエットしかわかりませんが、フィールドスコープで覗いてみると、鮮やかできれいな色と模様をしていました。道中出会ったオジロワシも、海に浮かぶシノリガモも、「野鳥を探す」という視点を持っていなければその存在に気がつかなかったかもしれません。今日は一日、視線をうんと遠くに向けて過ごしてみようと決めました。

シノリガモのオス。黒みがかかった青色が特徴的。オスメスいずれもいずれも白い班があります。

Spot.2 道の駅 流氷街道網走

能取岬から網走方面へと戻り、立ち寄った道の駅もバードウォッチングスポットに。隣接している漁港に双眼鏡を向ければ、ここにもオジロワシが! 防波堤の先端のほうに止まって、魚などの獲物をとらえるチャンスを待っているようです。

海面には、シノリガモやホオジロガモの姿も。大自然の中へ出かけなくとも、こんなに野鳥に出会えるなんて、オホーツクの日常の豊かさを感じます。

Spot.3 uminoba(網走市)

ランチはオホーツク海岸沿いにある、uminobaへ。クラフト雑貨や食品などオホーツクの特産品が揃うほか、オホーツクの素材を使ったメニューも味わえるお店です。カウンターの窓からは海が見渡せるので、タイミングが良ければ海鳥を眺めながらのカフェタイムができそうです。ちなみにこの日は、オジロワシが空高くを旋回している姿に出会えました!

『オホーツクチーズバーガー(1,000円)』と『自家製ヨーグルトドリンク(550円)』を注文。興部町産のチーズを独自にブレンドしたミックスチーズは濃厚な味わいで、お肉の旨みがぎゅっと詰まったパテと一緒に食べると奥深いおいしさ。ボリューム感も抜群です。さっぱりとしたヨーグルトドリンクは見た目も鮮やかで、ハンバーガーのお供にぴったりでした。お店の営業日や最新情報については、Instagramから確認を。

Spot.4 斜里川河口 (斜里町)

お腹が満たされたところで、斜里方面へ足を伸ばしてみることに。斜里川沿いに流氷が打ち上げられていて、まるでオブジェのようでした。

河口沿いを歩いた先に見つけたのは、二羽のオジロワシ。同じ方向を向いて、じっと佇むオジロワシの姿はとても凛々しく、目を奪われます。ストレスを与えないようしばらく遠くから眺めていましたが、飛び立つことなく、ただじっと佇んでいました。道東エリアでは繁殖をしているつがいがおり、夏も姿が見られるそう。国の天然記念物に指定されているオジロワシ。その生息地が守られていくことを願うばかりです。

流氷の隙間では、ホオジロガモ、スズガモ、カワアイサ、マガモ、ヒドリガモといったカモの仲間たちを発見。海に浮かんだり、流氷の上で眠ったり、どこかのんびりとした空気が流れます。しばらくするとどこからか別のホオジロガモの群れが飛んできました。笛のような羽音を響かせて、流氷の隙間の海へと下りていきました。

じっくり観察してみると、ひと口に「カモ」と言っても実に個性豊かであることに気づきます。午後の日差しが温かく、ゆっくりと野鳥たちの姿を眺めることができました。

Spot.5 フレトイ展望台(小清水町)

時刻はちょうど夕暮れ時。オホーツクを巡る一日の終わりに、フレトイ展望台へ。道の駅はなやか小清水のすぐ側、浜小清水前浜キャンプ場に隣接する小高い丘の上にある展望台です。この日はうっすら雲がかかった天気で、燃えるような夕焼けとはなりませんでしたが、淡く穏やかに染まっていく空も良いものです。

今日一日を振り返りながら海を眺めていると、流氷に止まるオオワシの姿を発見。波風をものともせず、どっしりと構えているようなオオワシの姿に、これぞ道東というような自然の美しさを感じます。すべてのスケールが大きく、時に厳しさすら感じさせる、オホーツクの海。そこで暮らす、逞しく、たおやかなワシたちの姿をしっかりと心に焼きつけて。この旅を締めくくりたいと思います。

オホーツク海沿岸に流氷が接岸しはじめるのは、例年2月の上旬から中旬頃。小清水町観光協会のWebサイトにて、「流氷のベストスポットはどこだ?」という記事が掲載されています。オホーツクに出かける際は、ぜひこちらも合わせてチェックして冬ならではの景色をお楽しみください。

以久科海岸(斜里町)にて。危険なので、流氷の上には乗らないようにしましょう。
スロウ日和編集部

小鳥たちと出会う、冬のオホーツク森歩き」の記事でも、小清水町を拠点としたバードウォッチングについて紹介しています。

この記事を書いた人

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立田栞那

花のまち、東神楽町生まれ。スロウの編集とSlow Life HOKKAIDOのツアー担当。大切にしているのは、「できるだけそのまま書くこと」。パンを持って森へ行くのが休日の楽しみ。