暮らすほどに、満たされるまちで。〈ゲストハウスゆらり 小谷桃子さん〉

道北の町・下川町で暮らす人たちを訪ねる特集『下川町でスロウ日和』。今回登場するのは、ゲストハウスゆらりを営む小谷桃子さん。神奈川県出身で、学生時代から母の純子さんと二人で各地を旅してきた桃子さん。「いつか宿ができたら」という夢を抱き続けた先に、辿り着いたのが下川町でした。2024年8月の開業から約1年。ゲストハウスへ込める思い、「暮らしが夢心地」だと話す、今についてお話を聞きました(取材時期 2025年10月)

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ゲストハウスゆらり
住所 下川町班渓18
Instagram@
guesthouse_yurari
URL https://www.yurari.hokkaido.jp
※宿泊に関する詳細は、Webサイトから確認を。

旅先で出合った宿に憧れて始めた、ゲストハウスゆらり。

下川町にまたひとつ、旅人のための拠点ができました。小谷桃子さんと母の純子さんが営む宿「ゲストハウスゆらり」がオープンしたのは、2024年8月のことです。

屋号の由来は、「日常の慌ただしさを忘れてゆったり過ごしてもらえる場所でありたい」という思いから。畑や林に囲まれた自然の中、ぽつんと佇む小さなゲストハウスです。

神奈川県出身で、学生時代から純子さんと二人で各地を旅してきた桃子さん。タイのチェンマイに心落ち着く大好きな宿ができ、「いつかこんな風に、旅人の拠点になるような宿をやりたい」という夢を抱くようになりました。

リビングスペース。冬になると薪ストーブに火が点り、より温かい雰囲気に。薪ストーブを使って料理を楽しむこともあるそうです。

純子さんの生まれが名寄市だったことから、道北エリアでの開業を検討。下川に流れるのんびりとした空気感に惹かれ、まずは桃子さんが移住。その後に純子さんも続き、2人は下川へ。

写真左/ゲストルームは、男女別のドミトリー。すべてのベッドにカーテンが付いていて、適に過ごせるようになっています。部屋ごとの貸し切りも可能(予約時に要相談)。写真右/明るい雰囲気の共有スペース。キッチンもあるので地元の食材を購入して自炊することも可能。町内のレストラン・モレーナの栗岩さんの絵も飾られていました。

人との距離感も、風景も。暮らしそのものが“夢心地”。

まちで暮らしながら、宿をやるための物件を探す日々。当初は知り合いも少なく、旭川市など大きなまちに出かけて心を満たしていた部分もあったと話す桃子さん。観光協会で働いたことを機に、少しずつまちに馴染んでいきました。

ゲストや偶然居合わせた地元の人などが集い、賑やかな時間が生まれることも。ゲストと一緒に食事を囲みながら旅話に花を咲かせるひとときも、桃子さんにとっての楽しみの一つ。

「それからどんどん下川の『人』が好きになって。ぎゅっとし過ぎていない、ちょうど良い距離感があるんです。今はここでの暮らしそのものに満たされています。『暮らしが夢心地だね』って、よく母と話をするくらい」。現在の物件を紹介してくれたのも、改装を手伝ってくれたのも、オープン後にゲストとつないでくれたのも、このまちで暮らす人たちでした。

下川へ来てからは趣味で音楽を楽しむようになったという桃子さん。モレーナのマスターをはじめ、地域の音楽好きとの出会いを機に、ウクレレを始めたそう。一人野外でウクレレを奏でたり、地元の人たちで構成されるバンドに参加したりしているそうです。

市街地から少し離れた、のどかな風景の真ん中で。桃子さんの夢の日々はこれからも、ゆったりと続いていきます。

小谷さんとスロウ編集部の往復書簡

取材を通して感じたことを訪ね、お返事をもらう文通企画です。

縁のない土地への移住・起業に対して、不安もあったはず。それでも決断できたのは、どうしてだったのでしょう?
立田

元々旅や移動は好きだったので、勢いに任せた部分が多かったような気がします。 ただ長年住んできた場所とまったく異なる環境での生活に最初は不安も入り混じっていました。 しかし暮らしていく中で、やりたいことにチャレンジしている方々、自分の夢を語った時にあたたかい関心を向けてくれる、そんな人々の魅力をひしひし感じ「ここでやろう」とはっきり思えるようになりました。 下川の自然やのどかな景色も大きな決め手でした。 自然も人々も、ここは日々の暮らしが夢心地だね、とよく母と話しています。泊まりに来てくれる方にもそれを感じていただけたらと願っています。
小谷

下川町で活き活きと自分なりの暮らしを営む人々の物語は、特集「下川町で、スロウ日和」からのぞくことができます。定期更新中ですので、ぜひ寄り道してみてくださいね。トップページは上のボタンから。記事の一部をこちらに掲載します。

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この記事の掲載号

northernstyle スロウ vol.85
「猟と人、ジビエと食卓」

私たちの生活に馴染みつつある「ジビエ」。今、猟やジビエに関わる人々は、どんな思いで向き合っているのか。農業被害への対策として、個人の趣味として、食への向き合い方の一つとして。一人ひとりの思いから、「食べる」ということに改めて向き合います。

この記事を書いた人

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立田栞那

花のまち、東神楽町生まれ。スロウの編集とSlow Life HOKKAIDOのツアー担当。大切にしているのは、「できるだけそのまま書くこと」。パンを持って森へ行くのが休日の楽しみ。