白銀の大地を犬たちと進む。上川町犬ぞり体験記。

かつて、アラスカなどの北国で移動手段として発達した「犬ぞり」。どこまでも広がる雪原を犬たちが駆け抜ける。そんな北国らしい世界を体験できるのが、アウトライダーが主催する犬ぞりツアーです。辺り一面の雪景色と犬たちの逞しさ、ソリに引かれながら感じる風の冷たさ。遠い北国にあったはずの光景に思いを馳せる体験の様子を写真たっぷりにお届けします。(取材時期 2022年1月)

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有限会社Outrider
開催地 大雪高原旭ヶ丘 大雪森のガーデン
料金  22,000円(税込)/1名
定員  各回2~5名
対象  小学4年生~ ※要相談
URL http://outrider-japan.com/ourtours
※予約、問い合わせはWebサイトから。

そりは自分で操縦。まずはしっかりレクチャーを。

気温は-10℃ほど。雪がハラハラ舞う真冬のある日、訪れたのは上川町の大雪 森のガーデン。広大な大地に雪が降り積もる1~3月、犬ぞりツアーが開催されています。迎えてくれたのは、アウトライダーの村林秀尚(ひでたか)さんと38頭の犬たち。遠軽町に拠点を置き、夏はカヌーづくり、冬は犬ぞりツアーを実施していた村林秀尚(ひでたか)さんですが、「もっと気軽に多くの人に犬ぞりを楽しんでほしい」と、道内各地からのアクセスが良い上川町での犬ぞりツアーを始めました。

木製のそりも村林さんの手づくり。

アウトライダーが実施する犬ぞりツアーは、参加者一人ひとりが犬たちとチームを組み、自分でそりを操縦するというもの。犬ぞりを体験するのは初めてだったので、「できるかな…?」とちょっぴり不安になりましたが、最初のレクチャーでそりの仕組みや扱い方をしっかり説明してもらえるので安心です。

レクチャーの間も、犬たちは吠えたり、仲間たちとじゃれ合ったりと元気いっぱい。「みんな早くそりを引きたくて仕方ないんです!」と村林さん。ここで暮らす犬たちは、そりを引いて走ることが大好きなのだと教えてくれます。「人を乗せたそりを引くのって大変じゃないのかな?」という心配も解消できました。

犬たちと協力し合い、「ハイク!」

参加者1人につき4頭の犬たちが割り振られる形でチーム分け(実際のツアーは6頭引き)。犬たちの性格を考慮したチーム分け・並び順が考えられています。犬たちの名前に加えて、「バルトはすっごく元気があって力も強いから、引っ張られ過ぎないように気を付けてくださいね!」という個々の性格も教えてくれます。スタート前に一頭ずつ名前を呼んで触れ合って距離を縮めていきましょう。

走り出すときは「ハイク!」、止まるときは「ウォー!」と声をかけます。坂道を上るシーンでは片足で一緒に漕いだり、反対に犬たちのパワーが強く前のチームと距離が近づき過ぎてしまった時はブレーキを踏んだり。掛け声とブレーキ使いが重要なポイントです。

犬にハーネスを付け、そりに繋げるところも参加者自らが行います。ハーネスを付けた瞬間、「やっと走れる!」と大興奮。あまりの元気さに驚きつつも、その様子にこれから一緒に雪原へ出発できるワクワク感が増していきます。ハーネスがきちんとそりに繋がっているのを確認したら、いよいよ出発です。

「ハイク!」

忘れられない雪原の景色。

最初から下り坂で犬たちのパワーに圧倒されました。

そのスピードは想像以上。寒さも人の重さも感じていないようなパワフルさで、犬たちは走ります。教えてもらっていた通りバルトのエネルギーによって、前を走るチームに近づきしてしまう場面もありましたが、「ウォー!」と声をかけてブレーキを踏むとちゃんと止まってくれました。とにかく早く走りたい犬たちの気持ちもひしひしと伝わってきて、なんとも言えない愛おしさがこみ上げてきます。

少しずつ周りの景色を楽しむ余裕も出てきました。大雪山のふもとに広がる雪原は、どこまでも真っ白。遠くに見える針葉樹もまた北国らしい雰囲気を醸し出します。頬に当たる冷たい風も心地よく、ハラハラと舞う雪が幻想的。「アラスカの人たちもこんな風に移動していのだろうか」と思いを馳せながら、犬たちの背中を眺めていました。

乗せてくれた感謝を込めて。

コースを走り終えてスタート地点に戻って来たら、「運んでくれてありがとう」の気持ちを犬たちに伝えます。みんな人懐っこく、わしゃわしゃと頭を撫でられるとうれしそう。走り出す前よりも仲良くなれた気がします。

こうやって初対面の私たちが犬ぞりを体験できるのも、村林さんと犬たちの信頼関係があってこそ。村林さんは時間をかけて犬たちと向き合い、「一緒に仕事をする仲間」としての関係性を築いてきました。「気持ちを通じ合わせて、本音で向き合うこと」が大切なのだと話してくれました。

今回は2時間ほどの短縮コースを体験しましたが、本来のツアーはレクチャー含めて4時間程度。「今日くらいじゃ犬たちにとって物足りないくらい」と村林さんが言うように、走り終えた犬たちはまだまだ元気な様子でした。

当ツアーは完全予約制。一度体験した人がその魅力に惹き込まれリピーターになることも多く、毎年大人気なのだとか。今シーズンはまだ予約可能とのことで、気になる方はお早めに。ウェアのレンタルやJR上川駅からの送迎も可能です。詳しくはお問い合わせください。

大雪山のふもとの広大な土地で、元気いっぱいに向き合ってくれる犬たちと、忘れられないひと時が待っています。

この事業は公益財団法人北海道市町村振興協会(サマージャンボ宝くじの収益金)の助成を受けて実施しています。

スロウ日和編集部

この事業は、(公社)北海道観光振興機構の「令和3年度地域の魅力を活かした観光地づくり推進事業(広域連携事業)」の支援を受けています。

この記事を書いた人

立田栞那

立田栞那

花のまち、東神楽町生まれ。スロウの編集とSlow Life HOKKAIDOのツアー担当。大切にしているのは、「できるだけそのまま書くこと」。パンを持って森へ行くのが休日の楽しみ。