スロウ日和ONLINE vol.1 コロナ禍でも移住先に選ばれる方法

師走の忙しい時期にウェビナーにご参加くださったみなさま、ありがとうございました。配信には参加できなかったけれど、話を聞きたかった方々に向けて、聞き手の石田が書いたレポートをお送りします。2回3回・・・と継続する予定ですので、ぜひともご参加お待ちしております。

Data

下川町移住交流サイト「タノシモ」
HP http://shimokawa-life.info/
instagram https://www.instagram.com/tanoshimo_shimokawa/?hl=ja
facebook https://www.facebook.com/shimokawalife/

下川町ってどんな町?

下川町は、名寄市と興部町のあいだにある、道北の小さな町です。人口は3,300人ほど。環境未来都市に選ばれていたり、SDGs総理大臣賞を受賞していたりと、町の取り組みが有名な町です。それだけでなく、移住者が増え続けているところも注目。みんなが楽しそうに暮らしているのです。そんな町の魅力を発信してきたのが、今年の春まで現役の地域おこし協力隊として広報を担ってきた、立花実咲さんです。個人的には、今の下川町の知名度は、実咲さんの広報力によるところも大きい…と思っています。

現在は退任し、下川町に住み続けながら、宿の運営とフリーランスの編集業を続けていらっしゃいます。

下川町のオンラインによる取り組み

感染症の流行に伴い、なかなか「うちの町に来て」と言いにくい昨今。下川町ではこのような状況になる前の2020年2月より、「Shimokawa bears Laboratory」(通称ベアラボ)を実施してきました。

これは、たとえば下川町に住んでいない人や、下川町のまちづくりに関わりたい人・移住希望までに至らないけど下川町のことが気になる・好きだという人に向けて、表だって出てこない町の情報や地域課題を発信する月1000円のオンラインコミュニティです。

さらに、コロナ禍となってからは「1年後移住するぞプロジェクト」も実施。こちらは名前の通り、「今すぐではないけれど」1年後の移住を目指す人たちに向けて、段階的に不安を解消しながらオンラインで移住を進めるプロジェクトです。

Q.どうしてこれらの取り組みを始めようと思ったのですか?実際やってみてどうですか?

実咲さん

簡単に言うと、「接点を持ち続ける」ため。受け皿として仕組み化しました。

どの町でも、移住希望者からの相談があればその都度遠隔でも相談に乗っていると思います。けれど、こうして「プロジェクト」や「有料のコミュニティ」という目に見える形の入り口を作ることで、移住希望者の一歩はずっと軽いものになるに違いありません。もちろん実際に来てもらっても構わないけれど、そうすることができない人の為の選択肢の一つとしても、オンラインの窓口があるとよいのかもしれませんね。

さらに実咲さんが繰り返し言っていたのが「接点を持ち続ける」ということです。問い合わせが来た時だけではなく、特定の人たちに向けて、こちらから定期的に発信するということが大切なのかもしれません。

どちらのコミュニティも、20~30名ほどの人が集まっているとのこと。検索では出てこないような情報を、相手を絞って効果的に発信できているとのことでした。これってもしかすると、移住だけでなく観光も同じなのかもしれませんね。来れないから・行けないからという理由で、興味をそがれてしまわないように、オンラインの選択肢を用意しておきたいですね。

Q.実咲さんが、広報担当者として気を付けていることは何ですか?

実咲さん

キラキラしたことだけを伝えないようにすることと、なるべく主語を自分にすること。

下川町はご存知の通り、住みやすい町とは言えません。冬の気温はマイナス30度になるときもあれば、積雪量も多く、交通の便もよくありません。そのため、町のことを伝えるときは、キラキラした良い面ばかりではなく、そういった負の面を隠すことなくちゃんと伝える。そしてそのとき、こういうふうに付き合っていますということも伝えることを大切にしているそうです。

さらに、「下川町は〇〇な町です」と、町を主語にして伝えないことも大切にしているそう。できる限り自分の体験談として伝える。そのほうが説得力も増しますし、聞き手も個人の経験談として捉えるので住んでからのミスマッチも少ないのだそうです。

実咲さんは個人のSNSでも、町であった出来事を積極的に伝えています。それが本当に楽しそうだから、「下川町っていいな」と思っている自分がいるな、と思いました。町の魅力を発信する自分自身が、その町での暮らしを楽しむ。そしてそれを、個人の経験談として伝える。これはどんな人でも試すことが出来そうですね。ここからは、参加者からいただいていた質問に答えてもらいました。

Q.町民の方への取材協力の仕方で気を付けていること

実咲さん

小さい町だからこそ、取材依頼などはなるべく会って直接話すようにしています。

Q.お休みはどのように確保してますか?オンオフの切り替え方法

実咲さん

仕事と暮らしがグラデーションのようになっている人に向いている町だと思うというのが前提としてあって、休みをとるときは周囲に宣言してから休むようにしています。

移住希望者は土・日に来ることが多いそうなので、そう考えるとずっと仕事になってしまいがちですね。仕事と暮らしが繋がっていたい人に向いている町とは言えども、一人になりたい日や完全なオフも必要です。実咲さんの場合、休みたいときには自分で休みを確保するだけでなく、周囲の同僚の人たちにも宣言してからしっかり休んでいるとのことでした。

Q.移住者が地域に溶け込む方法はありますか?

実咲さん

移住歴に関係なくコミュニケーションがとれるよう、月一回の「タノシモカフェ」を開催しています。

コロナ禍になり、リアル開催は中止しているとのことですが、下川町タウンプロモーション推進部が運営する食事会「タノシモカフェ」を開催しているそうです。移住者だけでなく、住んでいる人たちも参加可能というのが素敵ですよね。そこで仲良くなった人たちとは、その後も自分たちで交流を深めてくれているそうです。ちなみに、オンラインで開催したこともあったそうですよ。私も一度参加してみたいです。

Q.そうは言っても、そういう集まりに来ない人もいるのでは?

実咲さん

たしかに、大勢の集まりが苦手な方はいます。そういう時は、個別にお誘いしたりしてなんとか打ち解けられるようにしていますね。

「何も特別なことはしていませんよ、泥臭いです」と実咲さん。集まりを苦手としている場合でも、出身地や年代が同じ人たちを集めて食事に誘うなど、地道な取り組みをしているそうです。思わず、「学校の先生みたいですね」と言ってしまいました。

これまでの話を少しまとめると、こういうことでしょうか。きらびやかな面だけを見せないとか、自分の経験談として語るとか、そういう相手の判断に委ねる部分をちゃんと確保する。「それでも」と移住してきた人たちには、ケアを怠らない。

下川町はすごいな、と思うところはここです。移住者が町に来てくれたから終わり、ではなく、そこから関係性を築くまでが仕事。下川町に移住者が増えているのは、つまるところこういった細やかさと優しさだと思います。そうして町に定着した人たちが、自分の体験談として町での楽しい出来事を発信する。それを見た人たちが町に来る。その連鎖なのではないでしょうか。

2020年からスロウ巻末で連載がスタートした「下川町便り」。定期的に町の情報を伝えています。

有難いことに下川町は、スロウに何度も広告を出してくださっています。自分で聞くのも緊張しますが…

Q.スロウに出稿してくださっている理由は?

実咲さん

下川町の空気とスロウの雰囲気が似ていて、町内に読者が多いからです。

とってもうれしいです!「スロウの、どんな価値観の人も認めて受け入れている雰囲気は、下川町と似ているんです」と前に教えてくれたこともうれしかったです。

さらにスロウは人にフォーカスを当てた雑誌なので、下川町が登場するときも、なるべく移住者自身の話を聞かせてもらっています。それぞれの人がどういった理由で町に来て、どんな暮らしをしていて、これから何がしたいのか。それは、さきほど実咲さんが言っていた「個人の体験として話す」という、大切にしていることと同じ。検索すれば出てくるような情報を提示するより、ずっと価値があると思います。そして、もしいま出稿先に悩んでいる方たちがいらっしゃったら、町の人がよく読んでいる本という順番から出稿するメディアを選ぶのもよいかもしれませんね!

そして…本当に余談ですが、前に某町に営業に伺ったとき「うちは〇〇に出してるからいい。あっちのほうが部数が多いから」と言われたことがありました。たしかに部数は大きな指標となります。けれど、部数だけで判断するより、性格や媒体の雰囲気で選んだほうが、きっと届くべき人に届くだろうと思いながら静かに帰ったことを今思い出しました。どんな町も、町ごとに合った出稿先と出会えますように。スロウにそのお手伝いができればうれしいです。

突然ですが、お知らせです。現在この記事を読んでくださっている媒体が、2020年10月にスタートしたWebメディア「スロウ日和」です。トップページに並ぶ特集では、ウェブ界隈で流行している縦スクロールを取り入れつつ、雑誌を読んでいるように見ることができます。

カフェや宿、パン屋など、スロウで取材してきたアーカイブ記事を掲載していることで、アクセス数も順調な伸びを見せています。ぜひ、トップページからご覧になってくださいね。また、下川町もさっそくスロウ日和に登場しています。https://slowbiyori.com/feature/slowbiyoriinshimokawa/

現在、オープン価格と称して、通常の半額以下で出稿可能です。コロナ禍の今だからこそ、遠くからもオンラインでアクセスできるウェブメディアを検討しませんか?媒体資料はお問い合わせいただいた方に送信しますので、ぜひお気軽にご相談ください。問い合わせ先⇒https://slowbiyori.com/inquiry/

今週末開催予定です。ぜひご参加ください。

オンラインツアーや、オンライン配信もやっています!

弊社では、スロウの出版やスロウ日和の運営だけでなく、最近ではオンラインの取り組みにも力を入れています。10月には、下川町・旭川市・中川町など北海道内各地と中継をつないで「デジタルスロウ村」を開催しました。また、帯広市とオンライン移住ツアーも実施していたりします。

配信の設備や環境だけの提供も可能です。バックアップしますので、オンラインイベントに挑戦しませんか?こちらもお気軽にご相談お待ちしております。


最後に…
長くなりましたが、ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。実咲さんは、ウェビナーの中で

実咲さん

石田さんが下川町を好きでいてくれているからお願いしたいと思うんですよ。

と言ってくれていました。(喜びで画面越しに涙がちょちょぎれそうでしたが、)当然ですが、最初から下川町が大好きというわけではありませんでした。たしかに、移住するきっかけになった「ウッシーとの日々」という漫画の舞台だったことを知って運命を感じたりもしましたが、それだけではないのです。

下川町に仕事で呼んでいただき、町民の方との出会いを重ねることでどんどん大好きな町になっていきました。他の町と培ってきたつながりも同じです。きっとどんな町にも輝きの原石はありますから、それをスロウ編集者に任せて、磨かせていただけませんか?

わたしたちは北海道全体を愛していますから、呼んでいただければ離島だろうと僻地だろうと、すぐに向かいます。来年こそは、小さく移動ができ、新しい出会いが生まれることを祈ります。ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

この記事を書いた人

石田まき

石田まき

スロウ日和編集長。ライター兼カメラマン。初めて訪れた北海道で、空の広さに一目ぼれ。言葉と写真の両方でこの地の豊かさを伝えるため、九州から移住。ホタテが大好物。