1日を通してずっと気温がマイナスになる、真冬日の2月のある日。スロウ編集部としては2回目となるウェビナーを開催しました。生配信でつないだのは、大雪山のふもとにある上川町。最近、若い世代の注目を集めている、アウトドアやアクティビティに強みがあるまちです。配信には参加できなかったけれど、興味があるという方に向けてレポートをお送りします。今後も開催する予定ですので、ご参加お待ちしています。
Data
北海道上川町「カミカワーク kamikaworkプロジェクト」
HP https://www.kamikawork.jp/
Facebook https://www.facebook.com/kamikawork/
上川町ってどんな町?
北海道の最高峰である大雪山。そのふもとに広がる町が上川町です。人口は3,400人ほど。旭川市から車で1時間ほどの距離にあります。大雪山の湧き水で純北海道産の日本酒をつくっている上川大雪酒造があったり、大雪山を目当てにやってくる山好きの拠点になっている層雲峡ホステルなど、町外の人が移住し、起業にチャレンジしている例も。町長自らCMに出演(!)するなど、なんだか最近注目が集まっているまちなのです。
夫と共に札幌から移住・地域おこし協力隊として活動する水口加奈子さん。
今回のナビゲーターは、上川町地域おこし協力隊の水口加奈子さん。2019年に移住し、移住希望者や観光客と町民をつなぐパイプ役を担っています。移住ツアーを運営したり、オンラインイベントを主催するなどの業務を担っています。
この日の模様はシェアハウスとコワーキングスペースが併設されている「カミカワークラボ」から伝えてもらいました。2Fは居住スペースになっていて、単身者ならここで暮らすことができます。現在8部屋あるうち、ほぼ満室なのだとか。上川町の街中にあり、新築でおしゃれで素敵なんです!
カミカワークラボを案内
1Fのコワーキングスペースにいたのは、アウトドアプロデューサーの近江美久さん。スロウ日和でも紹介しています。最近、冬営業を始めた層雲峡オートキャンプ場の運営やイベント作りを担当。リニューアルして初心者でも楽しめるキャンプ場になったそうです。夏の間は将来ガイドになるために、ずっと山の中にいて勉強中だとか。地域おこし協力隊なのですが自由に活動できるのはいいですね。
クラフトプロデューサーの絹張育美さんは、HARIOという耐熱ガラスメーカーの商品を製作しています。小さなガラスのパーツを作り出すという繊細な作業中でした。クラフトプロデューサーは他にも木工をしたり、デザインをしたりする担当です。絹張さんはイラストが得意で、キャンプ場のチラシを制作することも。ちなみにご主人の絹張龍平さんも同じくプロデューサーで、町内でおいしい自家焙煎のコーヒーを提供しています。
Q.水口さんと上川町の馴れ初めは?
札幌出身で、札幌以外で暮らしたことはなかったという水口さん。元々アウトドアが趣味で、2016年ごろから層雲峡温泉から登れる黒岳に登りに来ていました。そのうち友人が層雲峡でゲストハウスを営むことになり、夫がそこで働くことに。水口さんは札幌から月1~2回通っていたそうです。その後、夫が上川大雪酒造に就職することになり、いよいよ上川移住を決断。仕事を探していて出会ったのが、カミカワークプロデューサーでした。
札幌にいると登山に行くまでの時間がかかってしまう。上川町なら朝起きて、カーテン開けて「よし、今日はあの山に登ろう」と思えるのがいいところです。
2019年4月に着任し、任期はあと1年ほど。退任後に目指しているのは移住コーディネーター。そして、大自然を満喫できるアクティビティを生み出し提供する会社を作ろうと、仲間と共に動いているところです。同世代が集まり、何かを立ち上げようと動いている姿には勇気をもらえますね。
Q.どのようにして住まいを探したのですか?
先に夫が来ていたので、そんなに苦労はしませんでした。でも夫が最初に探したときは大変でした。なかなか住宅情報が表に出てこないから。でも冬に街中を歩きまわると空き家がわかるんです。雪かきをしてないので。「ここ空いてるかも」と目星をつけておいて、雪が溶けたらもう一度まわって見つけました。
地方では住宅情報は公に募集をする前に買い手が決まってしまったり、逆にずっと空き家のまま放置されてしまっていたりすることも。地道な活動が必要なのですね。いきなり中古住宅を探すのではなく、まずは賃貸に住んでみて、じっくり腰を据えて探すのもアリでしょう。
Q.情報発信する際に心がけていることは?
一番多いのはFacebookでの配信。プロデューサーが個々でイベントを宣伝しています。Facebookを採用しているのは、簡単で誰でもできるから。手軽にコツコツ回数を増やすことがポイント。
移住ツアーは年3回予定。現在は新型コロナウィルスの影響でできていませんが、今後はオンラインツアー開催に向けて調整中です。今力を入れているのはオーダーメイドのツアー。例えば子どもがいるなら一緒に小学校に行って、お母さんは先生と話してもらい、子どもは授業を体験してもらうなど。酪農家の元に行って仕事体験をしたり。なんだか楽しそうな内容です。
オーダーメイドツアーはこちら
Q.若い世代の移住者アプローチが強い印象がありますが、工夫していることは?
私も30代なのですが、同世代の方が気にしてくれている印象があります。札幌や東京で「カミカワークカフェ」と称して上川町のお菓子などを持ち込んで開催したり、昨年は大学生向けにインターンシップをオンライン上で行いました。
配信後、上川町長のお話になりました。CMにも登場していて、注目度が上がっている佐藤芳治町長。どんな人なのでしょうか。
町長はよく笑うタイプではないので怖い印象があるかもしれませんが、実はフレンドリーな方です(笑)。用があって役場に行くと、町長から「水口さん、ちょっと時間ある?」と呼び止められ、話をすることも。町長自身も上川町外の出身で、<よそ者>に期待している側面があるのだと思います。
トップである町長から、水口さんたち協力隊、町民の方々まで。一丸となって取り組んでいるから、外からの上川町の見え方が変わってきているのだと思います。現在、地域おこし協力隊=カミカワークプロデューサーは10名。募集をしている部門もあるので、まだまだ増えそうです。これからもその活動に目が離せません。
スロウ編集部ではオンライン配信を行っています
弊社では、スロウの出版やスロウ日和の運営だけでなく、最近ではオンラインの取り組みにも力を入れています。10月には、下川町・旭川市・中川町など北海道内各地と中継をつないで「デジタルスロウ村」を開催しました。
配信の設備や環境だけの提供も可能です。バックアップしますので、オンラインイベントに挑戦しませんか?こちらもお気軽にご相談お待ちしております。