おいしさに笑顔を咲かせて〈カフェ美花夢・大場志穂さん〉

道北の町、下川町で暮らす人たちを訪ねる特集『下川町でスロウ日和』。今回お話を聞いたのは、大場志穂さん。丘の上の牧場で育ち、「来てくれる人を癒やせる場所を」という思いのもと、市街地でカフェ美花夢(びかーむ)を営んでいます。店名は、「be calm(和らぐ、安らぐ)」という英語から。志穂さんの思いにぴったり合う言葉です。地元であり大好きな場所である下川のこと、酪農家ファミリーで作るおいしいチーズやスイーツのことなどを楽しそうな表情で教えてくれました。(取材時期 2023年10月)

Shop Data

カフェ美花夢(ビカーム)
住所 下川町幸町125
電話番号 01655-4-2756
開館時間 11:00~19:00( 金・土・日曜 ~ 20:00)
定休日 火曜日

丘の上の牧場から。酪農家ファミリーの夢を叶えて。

「おいしいものと花に囲まれた、来てくれる人を癒やせる場所をつくるのが母と私の夢だったんです」と話してくれるのは、大場志穂さん。酪農を営む押田牧場の長女として生まれ、2002年に母の鏡子さんと共に美花夢を始めました。家族の夢を後押ししてくれたのは、今は亡き祖父の功さん。仕事の傍ら、コツコツとブロックを積んで牧場のすぐ側に小さな工房を建ててくれたのだそうです。

丘の上にある工房を営んでしばらくした頃、「もっと気軽に足を運んでもらえて、もっとのんびりしてもらえる場所にしたい」という思いから市街地にある現在の場所へ移転。それから20年近く経った今、「お店をやることで、私たちのほうが元気をもらっている気がします。自分たちで作ったものを『おいしい!』って喜んでもらえるのが、本当にうれしい」と、志穂さんは笑顔で話します。

「私は子どもの頃から下川のまちと人が大好きで、ずっとここで暮らしていて。ここ数年、その人ならではの思いやスキルを持っている人たちがたくさん移住してきてくれるのを見ていると、彼らを惹きつける下川ってやっぱり魅力的なんだなぁって改めて実感しているところです」。

平日の昼下がり、地元の人が代わる代わる訪れては、誕生日ケーキの予約をしたり、朝食用のチーズを購入したり。志穂さんと鏡子さんとのおしゃべりに花を咲かせて、みんなにこやかな笑顔を浮かべていました。

自家製チーズを使ったやさしいスイーツを。

押田牧場があるのは、見晴らしの良い丘の上。現在、牧場を営むのは志穂さんの兄。兄の太志さんは夫婦で協力し、牛たちを育てるところから、搾りたての牛乳でクリームチーズやモッツァレラチーズを造るところまでを手がけています。

そんな自家製チーズを使って作る人気メニューの一つが、『チーズクリームのロールケーキ』。地元産の卵と小麦粉で焼くロールケーキはクリームたっぷり、濃厚なおいしさで、牧場の牛乳を使った『アイスカフェオレ』との相性も抜群です。店内では、パスタなどの食事メニューも楽しめるほか、鏡子さんが焼くパンも購入できます。

下川への思いがあちこちに。

店内には、町の人たちが作る卵やトマトジュース、リネンスプレーやハーブティーなどがズラリと並んでいます。カフェでひと休みをしつつ、お土産を購入するのも良いですね。町の人が掲載されている雑誌や新聞記事も飾られていて、志穂さん親子の地元への思いが伝わってきました。

大場さんとスロウ編集部の往復書簡

取材を通して感じたことを尋ね、お返事をもらう文通企画を始めました。

まちの人たちが大好きな大場さん。改めて、下川の人自慢をお願いします!
立田

世代や性別を越えて尊敬できる人が本当にたくさんいます。大らかでユーモアたっぷり。毎日楽しませてもらえて、私自身もその歯車になりたいと思ううちに、大変な状況でもどこかに楽しさを見つけることが得意になったと思います。自然には恵まれているけど決して便利とは言えない環境で、良いときもあれば悪いときもある。そんな中でも屈せず自分の夢のため地域のために前向きで、ピンチの時はさっと手を貸してくれる。それも「なんもだよ~」と軽やかに。そんなかっこいい人がたくさんいてありがたいです!
大場

下川町で活き活きと自分なりの暮らしを営む人々の物語は、特集「下川町で、スロウ日和」からのぞくことができます。定期更新中ですので、ぜひ寄り道してみてくださいね。トップページは上のボタンから。記事の一部をこちらに掲載します。

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この記事の掲載号

northernstyle スロウ vol.77
「つづく、北の珈琲史」

北海道で珈琲が飲まれ始めた歴史、珈琲と向き合う人々の今を見つめて。脈々とつづいていくはずの、北の珈琲史をここに。

この記事を書いた人

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立田栞那

花のまち、東神楽町生まれ。スロウの編集とSlow Life HOKKAIDOのツアー担当。大切にしているのは、「できるだけそのまま書くこと」。パンを持って森へ行くのが休日の楽しみ。