小さな楽しみと、彩りと。〈mittsu 橋本光恵さん〉

道北の町、下川町で暮らす人たちを訪ねる特集『下川町でスロウ日和』。今回お話を聞いたのは、橋本光恵さん。25年ほど前に移住した当時のこと、mittsという屋号で活動するアクセサリーづくりのこと、「下川すまっこシネマ」など町の活動にも積極的に参加するようになった今のこと。小さな楽しみにあふれる日々について、明るい笑顔で話してくれました。(取材時期 2023年5月)

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Instagram:@hashi_mittsu

移住して10年がひと区切り。気がついたら「下川が帰る場所」に。

「下川へ着いたときには日が暮れていて。道沿いの街灯が途切れるのを見て、小さな町に来たなと思ったのをよく覚えています」。25年ほど前、橋本光恵さんが、就職を機にこのまちへやって来たときの第一印象です。最初に暮らしたのは、古い町営住宅の一室。「お湯が出なかったり、ネズミが出たり、冬には大雪でドアが開かなくったり。隣近所の人にすごく助けてもらいました」。当時を振り返り、懐かしそうに笑います。

職場の同僚にも恵まれ、充実した日々を送りながらも、移住して数年は「下川は少しの間身を寄せている場所。いつかは地元に帰るだろうな」と思っていたそう。「でも5年経って、10年経って、見えるものが変わっていって、気がついたら下川が〝帰る場所〟になっていたんです。今思えば、10年ってひとつの節目だったかもしれませんね」。

橋本さんが手がけているアクセサリー

下川へ来て10年ほど経った頃、結婚し、その後退職。環境の変化を経て、「もっとまちの人と関わってみよう」と、町内で行われる活動やイベントに参加するように。糸を使ったアクセサリーづくりを始めました。下川に来て今年で25年。「今はすっかり、〝まちの人目線〟になっているかも。これからもちょっとずつ、楽しいことを増やしていけたら」。箱の中に色とりどりの作品が増えていくように、橋本さんの下川での日々も彩られ続けていくでしょう。

橋本さんが作る草木染めの糸編みアクセサリー

元々刺繍が好きだったという橋本さん。イベントに参加する中でさまざまな作品に触れ、「飾るだけじゃなく、身に付けられるものっていいな」と、アクセサリーづくりを始めました。販売する際の屋号はmittsu。光恵という名前にちなんだ愛称「みっつ」をそのまま使っています。

「糸を染める作業がとっても楽しい!」

「これは玉ねぎ、こっちはシラカバ、それはコガネヤマドリというキノコで染めたもの」と、草木染めの材料や糸を見せてくれました。染めた糸は、素朴な風合いのものから、華やかな色味のものまで本当に色とりどりで眺めているだけでも心が弾みます。最近では、自宅で育てた藍を使って藍染めにも挑戦しているのだとか。アクセサリーのモチーフは葉っぱや花など自然にまつわるものが中心。「自然からもらった色で作っているから、そういう形がしっくり来る気がして」。糸でできている分、軽くて着け心地が良いと幅広い世代から好評です。

町内のイベントにも出展中

2022年に開催した森ジャムに出店した際の様子。(写真提供/橋本さん)

最初は趣味として楽しんでいたアクセサリーづくり。森ジャム(下川で開催される野外イベント)に出展する友人を手伝った際に、「対面販売って楽しいな。自分も出展してみたいな」と思ったのがきっかけで、橋本さん自身も出展するようになりました。2022年の森ジャムでは、子どもたち向けに草木染めのWSを開催。「子どもたちならではの自由な発想に触れられて楽しかった!」と教えてくれました。
※作品はイベントのほか、町内の飲食店などでも不定期販売しています。

小さな映画上映会「下川すまっこシネマ」の開催も

「下川りくらしネット」という団体に所属し、ドキュメンタリー映画上映会を開催する活動を行っています。「この活動を通して知り合った仲間や映画の題材から、ものごとの見方や考え方を教えてもらいました」。月イチペースで開催しているそうなので、興味のある方はぜひWebサイトで情報をチェックしてみてくださいね。

橋本さんとスロウ編集部の往復書簡

取材を通して感じたことを尋ね、お返事をもらう文通企画を始めました。

そろそろ下川にも緑の季節がやってきますね。橋本さんは、下川のどの季節が好きですか?
立田

ひとつ選ぶなら、初夏でしょうか。緑がどんどん濃くなって力強さを増していく感じに、私も「生きるぞー!」と力をもらいます。草木染めに使う植物の採集や、染めものをするのに気温もちょうど良い季節です。お出かけもしたくなるし、イベントにも出られる!楽しい!でもやっぱり、冬も好きです。どっさりの雪は困りものですが、外に出られない時は暖かい家の中でちまちまとアクセサリーを作ったり、次はどんなデザインにしようかと考えるのが楽しいです。夏は外へ、冬はお家で。両極端ですね(笑)。
橋本

下川町で活き活きと自分なりの暮らしを営む人々の物語は、特集「下川町で、スロウ日和」からのぞくことができます。定期更新中ですので、ぜひ寄り道してみてくださいね。トップページは上のボタンから。記事の一部をこちらに掲載します。

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この記事の掲載号

northernstyle スロウ vol.75
「風土を描く 生地の世界」

テーマは、北海道の「テキスタイル」。織りや紡ぎ、シルクスクリーンや天然染色などを手がける作り手の物語と、北国らしい生地の世界を訪ねて。

この記事を書いた人

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立田栞那

花のまち、東神楽町生まれ。スロウの編集とSlow Life HOKKAIDOのツアー担当。大切にしているのは、「できるだけそのまま書くこと」。パンを持って森へ行くのが休日の楽しみ。