道北の町、下川町で暮らす人たちを訪ねる特集『下川町でスロウ日和』。今回お話を聞いたのは、伊東千佳さん。コロナ禍を経て名古屋から下川へ移住し、現在は仕事でも日常でも植花と緑に囲まれた日々を送っています。下川への移住を決めたきっかけ、自然との距離が近づいたことによる気づきについてお話を聞きました。※一部写真提供/伊東さん(取材時期 2024年7月)
花の持つ力に惹かれて。下川での暮らしがくれた、新しい視点。
今年の北海道も暑い日が続きました。そんな夏真っ盛りのある日、下川町を訪ねると心なしか涼やかな風が。桜ヶ丘公園の敷地内にあるガーデニングフォレスト・フレペには、短い夏を謳歌しようとする植物たちの姿がありました。そんなフレペの植物たちの手入れをしているのが、伊東千佳さんです。
下川に来る前は、名古屋の花屋で働いていた伊東さん。当時扱っていたのは、どちらかというと「商業的な花」。伊東さんの関心は次第に、「人の側にある花」に向き始め、障がいを持つ人たちと共に働く植物店で働き始めます。そこで花に触れて笑顔になる人たちの姿を目の当たりにし、花の持つ力を実感。その後、コロナ渦を経て自身の暮らしを見つめ直したとき、思い浮かんだのが、妹を訪ねて何度か訪れていた下川での暮らしでした。
下川に来て約3年。仕事の傍ら、自宅の一角で庭づくりに勤しんだり、ワークショップを開いたりと、仕事でも日常でも、花と緑に囲まれた日々を送っています。「私にとっては贅沢なくらいの環境です。自然との距離が近づいたことで、華やかに活ける花も良いけれど、森で楚々と咲く花の素敵さにも気づいて。新しい視点をもらっているような気がしています」。 伊東さんが植物に向ける眼差しも、暮らしぶりを語る口調も、凛としていてたおやかで。下川で生きる植物の姿と、どこか重なって見えるのでした。
町内の人たちと楽しむ、フレグランスリースづくり
時々、町内の人たちと共に植物にまつわるWSを開催している伊東さん。8月には、フレペの植物を使ってリースづくりを行ったそう。「花屋で働いていたこともあって、植物を束ねるときにどうしても頭で考えてしまう部分があるんです。WSに来てくれる方たちが自由な感性で束ねたリースやスワッグは、お花が喜んでいるように見えて。良いなぁ、私もこんな風に束ねたいと毎回勉強になります」と、伊東さん。ここでは8月に開催したWSの様子をご紹介します。
伊東さんとスロウ編集部の往復書簡
取材を通して感じたことを訪ね、お返事をもらう文通企画です。
伊東さんが今、植物と向き合うときに大切にしているのはどんなことですか?
立田
私は花の特性よりもデザインやフォルムで捉えてしまう感覚が強くて。この子のデザインすごく好き!とか花の取り合せを考えることが得意。でもお世話をするとなると特性を知らないと枯らしてしまうし、お客様に聞かれることもあります。知識はもちろん必要だけど、知識本を詰め込むのは私には向いていなくて。触れた感覚で学ぶというか。植物の表情を見て話しかけながら、迷ったら本を開いて。話しかけている方が楽しいですし、苦手な植物でも好きになれる。好きという気持ちは一番の栄養だと思うからこそ、その気持ちを大切にしています。
伊東
下川町で活き活きと自分なりの暮らしを営む人々の物語は、特集「下川町で、スロウ日和」からのぞくことができます。定期更新中ですので、ぜひ寄り道してみてくださいね。トップページは上のボタンから。記事の一部をこちらに掲載します。
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