町での暮らしを、心豊かに。地域の人の集いの場所〈cafe 津別珈琲〉

津別町の元農機具店をリノベーションしてつくられた、cafe津別珈琲。樋田繁文さんと早苗さんが、「好きなことをとことんやってみたい」と開いた、自家焙煎のコーヒーと手作りスイーツのカフェです。町の取組みも決め手となって津別町に来たふたりが大切にするのは、地元の人たちとの交流。おいしいコーヒーと共にひと休みできる場所は、地域の人にとって憩いの場になりました。この町を初めて訪れる人にとっては、きっと町への入り口になることでしょう。(取材時期 2021年9月)

Shop Data

cafe 津別珈琲
住所 津別町幸町11
電話番号 080-6083-7233
営業時間 10:00~17:00
定休日 月・火・水曜
Instagram @coffeelover_woody

津別で始めた新しい生活の中で、「自分の好きなことを」

ふらりと散歩に出かけたいとき、友人とお喋りを楽しみたいとき。近くにおいしいコーヒーが飲める店があるといい。それだけでその町での暮らしはぐっと楽しく、心豊かになると思う。

「店を始めてから、近くで暮らす年配の方がよく来てくれるんです。昔に比べて町の喫茶店が減っていたから、喜んでくれているみたい」と話してくれるのは、樋田繁文さんと早苗さん。茨城県から移住後、準備期間を経て、今年の7月に店を開いた。

繁文さんの出身は北見市。長い間、地元を離れて茨城県で早苗さんとフラワーアレンジメントのネットショップを運営していたのだが、家族の都合で北海道へ戻ることに。新しい生活と仕事について考える中で、「せっかくなら、自分の好きなことをとことんやってみたい」
と、大好きだった珈琲を仕事にしようと思い立つ。

リノベーションでつくった、町の人の集いの場所

北見市周辺で店舗となる物件を探していたところ、元農機具店だった建物と巡り合う。2020年の冬のことだ。「外観の佇まいがすっかり気に入って」、この建物をリノベーションしてカフェを開こうと心に決める。津別町が空き家のリノベーションを推進する取り組みを行っていたこと、隣の建物が道東の情報発信を行う「道東テレビ(本誌54号掲載)」が運営するコワーキングスペースだったことも決め手となった。

「移住前、道東テレビが発信する動画をくまなく見て、道東エリアの情報を得ていたんです。それがなかったら、津別に来るのがもっと不安だったと思う」とは、早苗さん。

自家焙煎の豆を使った『ハンドドリップコーヒー(600円)』と、早苗さん手づくりの『ティラミス(700円)』。チーズケーキや季節限定のスイーツも。

役場から徒歩2分の場所でのリノベーション。作業中に地元の人が声をかけてくれたり、木材や古い家具を譲ってくれることもあった。オープン後も、繁文さんは焙煎の様子を見学してもらう機会を設けたり、早苗さんは近所の人たちにスイーツの試食してもらうなど、町の人たちとの交流を大切にしている。

まだ新しいはずの店が町にしっくり馴染んで感じるのは、気さくな樋田夫妻の人柄と周りの人への思いがあってのことなのだろう。

cafe 津別珈琲

スイーツはできるだけ北海道産の素材にこだわって作っています!

この記事の掲載号

northernstyle スロウ vol.69
「北国のサイロは今」

北海道の代表的な風景の一部として親しまれてきたサイロ。近年少しずつ数を減らしていくサイロの今を、あらゆる角度から記録した一冊。

この記事を書いた人

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立田栞那

花のまち、東神楽町生まれ。スロウの編集とSlow Life HOKKAIDOのツアー担当。大切にしているのは、「できるだけそのまま書くこと」。パンを持って森へ行くのが休日の楽しみ。