メッセージは、普通の暮らしの中に。 〈ソーリー工房・山田香織さん〉

道北の町、下川町で暮らす人たちを訪ねる特集『下川町でスロウ日和』。今回お話を伺ったのは、ハーブを使った化粧品づくりを手がけるソーリー工房の山田香織さんです。下川に移住して8年目となる今だから思うこと、このまちでできた仲間たちとの活動など、普段の日常についてお話を聞いてきました。下川に漂う「居心地の良さ」の理由を探ります。ソーリー工房の物語はコチラから。(取材時期 2022年7月)

Shop Data

ソーリー工房
住所 下川町一の橋607の内
電話番号 01655-6-2822
URL https://sorrykoubou.jp

Instagram @sorrykoubou

ソーリー工房の山田香織さん(写真左)と小松佐知子さん(写真右)。2人とも東北出身です。

〝普通の暮らし〟を伝えるイベント

「移住」という言葉には、どこか夢や希望にあふれた華やかなイメージがあるかもしれません。「もちろん楽しいことも多いし、下川での暮らしが大好きです。でも私たちは、特別な暮らしをしているわけではないんですよね。私もこの町で暮らす一人として、普通の日常を送っているだけで」。そう話すのは、ソーリー工房の山田香織さん。8年前に仙台市から移住。最近では、新しい移住者を迎える機会も増えてきました。

移住者と、元々ここで暮らす人。華やかなイメージと、ありのままの日常。その境目を緩やかにしていけたらと、山田さんは町内の仲間たち(通称・パープル商会)と共に不定期で小さなイベントを開いています。それぞれができることを活かして、マーケットやWSを開催。ふらっと寄り道した人どうし会話が弾んだり、何か新しいヒントや楽しみを見つけたり。イベントの良さは、「誰に対しても開かれている」ところにあるのでしょう。

写真左から、富永さん、山田さん、小松さん、伊東さん、塚本さん。ちなみにパープル商会の名前の由来は、帯広にある古道具店「グリーン商会」からヒントを得て考えたもの。

パープル商会がイベントを開く際の3つの心得。それは、伝えたいメッセージを持つこと。その方法をみんなで楽しく考えること。自分たちの考え方を決して押し付けないこと。あえて言葉にして確認したり、何度も打ち合わせを重ねなくとも、心をひとつに動くことができる。そんな軽やかで健やかな距離感こそが、きっと下川で感じる「居心地の良さ」の理由のひとつ。今度はどんな催しが開かれるのか、心待ちにしていたいと思います。

パープル商会がつくる 下川町の小さなイベント

現在のパープル商会のメンバーは、ソーリー工房の2人のほか、塚本あずささん、富永さいこさん、伊東千佳さんの5名。普段から気心知れた関係性で、打ち合わせも「必要最低限のことだけサクッと共有して、後はご飯を食べたりおしゃべりしたりという感じ」なのだそう。2021年の冬に「冬至市」を始めてから、春分市、夏至市と開催中。今後の開催については未定ですが、「自分たちにとっても周りにとっても、必要だと感じられたら続けていくつもり」と話してくれました。

春分市

2022年春、漢方茶とアロマセラピーのお店「二十日」のプレオープンイベントとして小さなマーケットイベントを開催。花をテーマにした本や焼菓子、ミニブーケなどの販売のほか、カモミール染めのWS体験を行いました。会場は、塚本さんが営む「二十日」の店内。塚本さんがオープン準備に勤しむ傍(かたわ)ら、パープル商会のメンバーはじめ町内の仲間たちが花いっぱいにしてくれたそうです。「二十日」の物語はコチラから。

夏至市

当日はヨモギやハーブを使ったWSも行われました。

6月のイベントのテーマは、「野営力を磨く」。英語教室と書店を営みながら、薪屋の夫と薪を使った生活をしている富永さんを筆頭に、「下川は、決して便利とはいえないまち。その分、コミュニティで協力し合ったり、自分たちの力で生きていく力が必要だよね」というところから生まれたテーマとのこと。当日は、アウトドア用品のフリーマーケットなどを中心に、みんなで焚き火を囲んで塩づくり体験を行うなど、夏至の長い日を思う存分楽しみました。

イベントのお知らせは、SNSを中心に。

告知画像はいずれも地域おこし協力隊の安部晋平さんがデザインしたそうです。素敵!今後のイベント情報については、ソーリー工房のInstagramでお知らせされる予定です。ぜひフォローして情報をチェックしてみてくださいね。スロウ日和でもシェアしていきたいと思います!

山田さんとスロウ編集部の往復書簡

取材を通して感じたことを尋ね、お返事をもらう文通企画を始めました。

「人と人の距離感」が下川の魅力の一つになっているように感じました。山田さんにとって、パープル商会の仲間(下川町の仲間たち)たちはどんな存在なのでしょう?
立田

パープル商会のメンバーはとてもパワフル! さまざまな機会に巡り合わせてくれます。イベント自体は気がついたら今回で3回目。イベントを開催することが目的というより、楽しい気持ちがつながり、企画が膨らみ、それをみんなで共有したくてイベントを行っている感じです。なのでこれからも、メンバーとも下川町の人たちとも生活を通して自然につながり、日々を楽しく過ごしていけたらいいなぁと思っています。
山田

下川町で活き活きと自分なりの暮らしを営む人々の物語は、特集「下川町で、スロウ日和」からのぞくことができます。定期更新中ですので、ぜひ寄り道してみてくださいね。トップページは上のボタンから。記事の一部をこちらに掲載いたします。

下川町の移住情報はコチラ

立田栞那

背伸びせず、ありのままの日常を楽しく伝えられるのは、パープル商会の皆さんが下川暮らしを楽しんでいるからこそ。またイベントに合わせて下川へ足を運ぶのもいいなと楽しみが増えました!

この記事の掲載号

northernstyle スロウ vol.72
「花咲く庭のおすそ分け」

短い夏に競うかのように咲く、庭の花々。カフェとして自宅の庭を開放しつつ、草花について造詣の深い人のもとを訪ねる

この記事を書いた人

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立田栞那

花のまち、東神楽町生まれ。スロウの編集とSlow Life HOKKAIDOのツアー担当。大切にしているのは、「できるだけそのまま書くこと」。パンを持って森へ行くのが休日の楽しみ。